出張料?

なにかとお気の毒に感じる事が多いピアノ技術者さんですが、疑問に感じるところがないわけではありません。
それは、調律料金に「出張料」というものが加算される場合があり、私自身も数回経験したことがあり、知人からも同様の話を聞いた覚えがあります。

ただし、これはあくまで一部であって、多くの方は請求されない場合のほうが多く、その違いがどこにあるのかと思います。
印象としては、メーカーや販売店がらみの調律で出張料の別途請求が多いような印象ですが、未確認です。

出張料は、文字通り人に出向いてもらう際に生じる料金ということでしょうが、私見ですが、ユーザー自身がその気になれば依頼する対象物を相手側に持ち込むことができるけれど、それを選択的に技術側に来てもらう場合などに発生する料金ではないのか?〜と思うのです。
しかし、ピアノは使い手が技術者のところへ持ち込むなど到底不可能だから、依頼者側にその点での選択肢は絶無です。
ここが、ケースに入れて持ち運びできる楽器と、決定的に、かつ宿命的に違うところ。

よってピアノ技術者さんのお仕事は、ピアノのある場所へ移動することが当たり前で、それをひっくるめての仕事だと思うのです。

もちろんお気に入りの技術者さんを、自分のこだわりで遠方から呼ぶ場合などは、応分の交通費などを負担するのはその限りではありませんが、普通に移動できるエリア内にもかかわらず、一律に出張料を上乗せするのは納得しかねるところ。
金額の問題もさることながら、気分的に納得感が得られず、あとにも疑問が残ります。

要するに、調律依頼とは技術者さんの移動なしにははじまらないもので、そこへ出張料を別途請求するのはセンスとしても考え方としても同意しかねるのです。
考えてみれば家の修理でも、庭木の手入れでも、WiFiの工事でも、そこにいちいち出張費用などという慣習はありませんよね。
もしかすると一部あるのかもしれませんが、少なくとも私は経験したことがない。

むろん移動距離の限度というものはあるだろうから、それは一定の基準を設ければいいことですが、少なくとも距離に関係なく、訪問=出張料発生では、それだけで首を傾げ、またお願いしようという親密感も生まれにくい。

要は事実上の値上げだろうとも思われるので、例えば15,000円の調律料だとすると、消費税込みで16,500円、それに出張料3,000円というようになるなら、いっそシンプルに20,000円と云われたほうが、私はまだサッパリします。

ただし、フリーでやっておられる技術者さんなどの多くは、従来通りのスタイルが多数派で、出張料などと言われることはありませんので、この点は念のため付け加えておきます。

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