我が家のグランドは、これまで少々遠方から調律師の方に来ていただいていましたが、このところお呼びする暇もなく、さらにあまり弾かないことも重なって、つい間隔が空いてしまいました。
先日、気になっていた調律をようやく終えることができました。
今回は「試しに」といったら語弊があるけれど、比較的近くにお住まいのとても誠実な調律師さんがおられるので、その方にお願いすることに。
女性の方で、現在は女性のピアノ技術者さんも珍しい存在ではなくなりましたが、そうなる以前に修行を積まれた方です。
その方の師匠は地元ではかなりその名が轟いた方で、ご当人の真面目なお人柄とあいまって、しっかりと技術を積み上げておられ、これまでにも幾度かお願いしていました。
技術的にも奇抜なワザなどは一切使われない、ごまかしのない仕事をされ、まさに正攻法の調律を信条とされているようです。
その結果、今回は思わぬ発見がありました。
今回は時間の関係で整音はされず、ほとんどを丁寧な調律に費やされたのですが、その結果、ピアノは美しく整っただけでなく、予想以上に派手できらびやかな音になり、大げさにいうとホールのピアノみたいで、すっかり恐れをなしてしまうほどでした。
ということは、調律すれば、ピッチが上がって全体が整い、音の印象が明るくなるだけでなく、かなり華やかにもなるということを体験できたのかもしれません。
ある程度はわかっていたつもりでしたが、そこには想像をこえた効果があり、あらためて調律というものの効果というか、威力に驚ろかされることになりました。
これまでは、調律と併せて多少の整音作業が行われるので、音の角が丸められることで調律効果による華やかさはかなり抑えられ、ずいぶん相殺されていたんだということが、はっきりわかりました。
技術者の方にしてみれば、アナタ、いまごろそんなことで驚いているんですか?と一笑に付されるかもしれませんが、素人ですから、そうなんです。
調律にはやはり1人1人の個性がでるでしょうしね。例えばどの倍音を聴いてその倍音をきれいに合わせていくとか。チューナーで測ってもきちっと合わせる方、全体に高めの方もおられると思います。そう考えると調律師もまだまだ研究し続けなければなりませんね。ピアノの機種でも凄く合わせやすいピアノ、もともとの唸りがあってきれいには合わないものとかもあるでしょうし。
調律は極端にいえば、調律師さんの人柄教養までもが出てしまう気がします。
おっしゃるように各人各様で、以前は名人といわれる方の独自の調律や、微妙なところを狙った凝った調律などもいろいろ試しましたが、最近は奇をてらわない、真っ当な調律もこれはこれでいいなぁと思うようになりました。
とはいえ、あまりに杓子定規なカチカチの調律ではさすがに面白くありませんが。