少し前に書いた、「試弾は使用になる?」という疑問は自分の中にぼんやりあったのですが、大元になる経験を「そうだ、あれだった!」と突然思い出しました。
たしか5〜6年前のこと、ある輸入物の小型アップライトピアノを試弾したくて、やがてそれは岡山から東京まで広がりましたが、これという結論も出せずにいた時のことです。
ネットに関東のあるピアノ店で、同型の在庫をもっているところがありました。
そのピアノはすでに数年が経過しているらしく、その間にフェルトの色が新色に変わるなど、厳密には旧型といえるものでした。
数年間という短くはない期間、店舗に置かれていたということは、大事にされていたにしても、試弾も繰り返しされただろうし、お店の小さなコンサートなどでも使われることがあったようでした。
つまり楽器としての価値云々ではなく、商品としてみれば「旧型で長期在庫品」という事実を背負ったもので、こちらからみれば「新古品」というぐらいのイメージでした。
そういうことを踏まえて、価格などをごく普通に質問してみたつもりでしたが、返ってきたメールはえらく憤慨の様子で、およそ以下の様な主張を頂戴することに。
「そのピアノは発売された当初、自分が惚れ込んで仕入れたもので、一度も販売していない新品です!」
「入荷いらい、極めて大切に管理しており、しっかり整備もしている」
「今入ってきたものよりも熟成しており、最高の状態にあるにもかかわらず、そのようなことを聞かれたのは心外であり驚いた」
「このピアノの価値を理解される方に販売したいと考えています」というようなものでした。
驚いたのはこちらのほうで、「お気持ちを傷つけたのならお詫びします」と返信して、連絡を絶ちました。
人気のモデルで、中古も出たらすぐに売れてしまうのに、何年も買い手がつかないのはそういう訳かと苦笑いでした。
しかし、このことは結構なインパクトがあって、新品ピアノに対する定義を考えさせられるきっかけとなったのです。
入荷して一度も販売されていなければ、たとえ何年経過しても新品といえるのか?…と。
マロニエさん、こんにちは😊
私も思っていました。何年も売れておらずで試弾も色んな方がされているのに、表示はいつまでも新品…それ今も新品?違うよねって…。
お店の方にしてみたら、ご自分の選び抜いた逸品でまだ誰にも渡っていない状態だから(まだ誰にも育ててもらっていないと言ったほうがいいのか…)新品のままだし、その価値を理解される方がまだ現れていないだけであってそのピアノは決して色褪せているわけでもない、いくら時間が経とうとそれに価格を下げるのは違うと思われたのでしょうか…。
それはそうだとして、いくら思い入れがあったとしても、あのような言い方をされるのはいけませんよね…。
ご自分のお考えを述べた上で、もっと他に言い方はあると思います…。
ひぇーって思いました…。
ピアノ販売の方も、色んな方がいるのだと参考になりました。
ありがとうございます。
あのときは、かなり強い違和感を感じました。
楽器の価値と、ビジネス上の「新品の定義」は、まったく別の話だと思うのです。
スタインウェイでも数年ごとに展示品を入れ替える場合、展示ピアノは格安で販売されるそうで、商売とはそういうものだと思っていたのですが…。
楽器に対する熱い思いはわかりますが、ピアノの場合、新品か否かの線引が不明瞭なこともあるような気がします。
スタインウェイもそうなのですね。
と言いますか、それが普通の認識ですよね。
ピアノだけがいつまでも新品というのはやはりおかしな話ですね。
それこそ、ピアノの隠れたところにオドメーターがあれば反論できる材料になりそうです。
そのご体験をされたマロニエさんが、あれこれと思考を巡らされているお気持ち、よく分かります。
私も新品については疑問に感じていました。
車も店頭に置かれた時点で試乗も出来るので、新品とは言い難いです。
ピアノもそれと同じで小学生でも鍵盤を叩くように指弾されている場面に遭遇したこともあります。
工場で出荷される前が新品で店頭で置かれた時点ではマロニエさんがおっしゃるように『新古』だと思います。
ピアノにしろ車にしろ本領を発揮するのは3年は要します。
新品のピアノはフェルトも硬く高音もキーンと発するので3年は弾着込まないと。
だから私はワンオーナーで調律を定期的にされている中古ぴあのをあえて購入
します。
しかも大手中古ピアノ店ではなく個人でしっかり工房も持っている個人店は、職人気質でとても信頼があり、本当にピアノを大事にされています。
ピアノの場合、現実問題として正真正銘の新品を求めることは無理ですし、製品の性質上それは無意味でもあると思いますが、とはいえ節度というものはあるだろうというのが私の感覚です。
製造から数年を経た場合、さすがに少し価格面で配慮することでしか解決はない気がしますが、では、その境目はどこにあるのか…これがなんとも難しい問題ではありますね。