フジコさんについての投稿にいくつものコメントをいただきましたが、やはりあの方には一時的な現象だけでは収まらない、継続的な人気が維持できるだけの魅力があったことを感じさせられました。
ブレーク早々、ラ・カンパネラが代表曲となり、そのCDもクラシックとしては桁違いの売れ行きであったことも話題でしたが、同業者はじめ少なくない層からの反感を買うことにもなり、言い方は不適当かもしれませんが「面白い現象だった」と思います。
コンサートでも、少なくともフジコさん登場以前に比べたら、あきらかにラ・カンパネラが多く弾かれるようになったと感じました。
もちろん、聴衆が好む曲だからという素直な動機もあったと思いますが、あきらかに「フジコのラ・カンパネラ」を意識して、ことさらにハイスピードで技巧的に弾いてみせるところに「これが本当のラ・カンパネラですよ!」というブームへの批判が透けて見えるようでした。
むろん、そんなことで怯むようなフジコさんではありませんでしたが。
フジコさんのピアノの特徴のひとつが、聴くものを誘う美しい音色だったと思います。
ご自身が語っていたところでは、「アタシの音がきれいだって言われるのは、指がこんなに太いでしょ、だからいい音がするのよ!」と両手をかざしながら言われていましたが、ただそれだけではない気がします。
フジコさんは聴覚にご不自由があったようで、そのことと関係があるのでは?と思うのです。
本能的か無意識かはわからないけれど、少しでも自分の出す音を捉えようとすることが、結果的に、通りのよい澄んだ音を生み出す誘因となったのではないか?という気がするのです…あくまで想像の域を出ませんが。
…それにしても、ラ・カンパネラがどうしてああも好まれるのか?
パガニーニによるキャッチーなメロディもあるだろうし、「ラ・カンパネラ」といういかにも華やいだ響きの名前とも無関係ではないかもしれません。
「ため息」もいいけれど、一般ウケするには「ラ・カンパネラ」のハレな感じには及ばないのでしょう。
ショパンの「幻想即興曲」も名前の力はあるはずで、即興曲第4番「幻想」ではダメだったのでは?
※写真は前回と併せて著作権フリーの画像からお借りしています。
ラ・カンパネラがこんなに弾かれるようになったのは確かにフジコさんの影響が大きいかもしれませんね。アマチュアのピアノ弾きでこれが目標!という方も結構多いような・・・。(弾きこなすには相当難しいと思うのですが😅)
アマチュアの目標がラ・カンパネラというのは「カッコよさ」なのか?
フジコさんが広げて、今はもう別の扱われ方になっているような気配も…。
以前は「英雄ポロネーズが目標」というのも多かったような。
フシコさんの音色は美しいとおっしゃっていたことでふと思ったのですが、お母様から受け継いだブルュートナーを大事にしていたそうですね。(ネットを見ると1929年製とありましたので、とてもいい素材で丁寧に作られていた時代のものではないでしょうか)
こういうピアノを選ばれたお母様は、恐らくピアノから流れ出る音色に相当こだわりを持たれていた方で、そんなお母様からピアノの手ほどきを受けたことで音に対する感性が研ぎ澄まされたところも大きいような気がします。
だんだん枠が狭くなるのでこちらから。
そうでした、子供の頃から家に戦前のブリュートナーがあったというのは注目すべきですね。
これについてはお題をいただいたつもりで、あらためて書いてみたいと思います。
コメントからお邪魔します。
フジコさんが下北沢の自宅で弾いてらしたピアノが気になっていたのですが、ブリュートナーだったんですね。
フジコさんが弾いてらした「月光」がどのピアノよりも深く、森の木々の香りが漂ってくるような感覚を肌で感じさせてくれるようなピアノでした。
なんか胸がスッと降りたような気持ちで、やはりマロニエさんのブログのファンと言っていいのでしょうか、凄いですね。
ブリュートナーはドイツ製ですか?
確かフジコさんはコンサートでは、ホールの所有によりますが、ベーゼンドルファーを好んで演奏されていました。
私の思うにはベーゼンドルファーはとても繊細なピアノで、あまりバンバン弾くピアノではなく、フジコさんはとても繊細に演奏されていたのを覚えています。
ベヒシュタィンの方がドイツらしく健鋼的な感じがしますね。
リストの作品はお得意だったそうですが、「ロ短調ソナタ」は聴いたことがなく演奏してほしかったです。
私はリストの「ため息」も好みですが、「ロ短調ソナタ」はそれ以上です。
アヴェデエワさんもいいですが、リヒテルは何度でも聴きたくなります。
またまた、横道に逸れたコメントですみません。
こちらの投稿について書いていただきありがとうございます。
フジコさんが自宅で弾かれた「月光」、味がありましたね。
おっしゃるように、ブリュートナーはドイツ製です。(先のコメントではブリュートナーが変な綴りになってしまいました・・・)。私も1台だけ弾いたことがありますが、上品な光沢に包まれた美しい音を放つピアノだった記憶があります。
マロニエさんのブログはピアノの魅力を本当に色々と教えてくださいますね。ここまで深くてマニアックなブログ(良い意味です)はなかなかありませんのでありがたいことです。
ドイツ製だと教えていただき、ありがとうございます。
確かフジコさんのお母様はベートーヴェンの作品を好んで弾いてらしたようで、確かにブリュートナーはベートーヴェンの作品を弾くにはとても適していますね。
「教える」などとは、とんでもない!
アマチュアの好き放題を書いているだけで、本業の方からは失笑ものでしょうが、温かく許していただいていると思っています。