プレイエルに呼ばれて

一週間ほど前の新聞紙上で、前原市の奥にひろがる田園地帯に佇む築180年という古民家で、プレイエルピアノ(歴史あるプランスのピアノメーカー)を使った小さなコンサートがあることを知りました。

プレイエルと聴くと思わず反応してしまうマロニエ君なので、詳細もわからないまま聴いてみたくなり翌日電話をしたところ、すでに定員の50名のチケットは売り切れていました。
しかし来年も同じような企画があるらしく、そのときは案内を出すので、まずは一度来てみられませんか?ピアノにも触ってもらっていいですしというお話をいただいて、ドライブを兼ねてともかく行ってみることにしました。

古民家の敷地内の駐車場に車を止めて外に出ると、いきなりピアノの音が聞こえてきて、どうやら調律の真っ最中のようでした。

すぐにオーナーの女性が出迎えてくださり、まずはこの建物の一角にある喫茶店に入りました。
あれこれと雑談など交わしているうちに、洩れてくる調律の音はしだいに高音部に差しかかり、終盤をむかえているようでしたが、すでに3時間以上やっているとのことでした。
その調律師の方はプレイエルの経験のある方ということで、わざわざ来られたとか。

コーヒーを飲み終わった絶妙のタイミングで調律が終わり、オーナーが店の裏にあるピアノのほうへ案内してくださいました。

するとなんと、またしても顔見知りの調律師さんがそこにおられ、数年ぶりにお会いできて、思いがけないところでお話ができました。
いまさらのようですが、つくづくとこの世界の人の繋がりの不思議さを感じずにはいられません。
ウワサなんてあっという間でしょうから、いやあ悪いことはできませんね!

ピアノは新しいものでしたが、左右両側に燭台のある昔のモデルの復刻ということでした。
プレイエルではすでにアップライトの生産は終了していますので、このピアノはおそらく最後期に生産された貴重なモデルだろうと思われます。(今後アップライトを作らないというのはグランドに特化した高級メーカーにシフトするという事でしょうから、大変思い切った方針のように思えます。ちなみにイタリアのファツィオリもグランドのみ。)

どうぞ弾いてくださいといわれても、まさか調律したてのよそ様のピアノをマロニエ君がまっ先に弾くのも憚られるので、ほんのちょっとだけ軽く音を出させていただきましたが、プレイエルらしい甘い音色が特徴的で、タッチは非常になめらかでしっとりしているし、ラウドペダルの感触やタイミングなども独特で、やはり日本のピアノとは根本的に異なる生まれだということを感じました。
ピアノの状態はまだ限りなく新品に近い状態で、もう少し経つと独特な味と落ち着きが出てくるだろうと思われ、今後の熟成が楽しみです。

オーナーのご厚意で大変貴重な経験ができました。

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