一部の高級機のことはわからないけれど、ヤマハピアノの中核をなすのは世界の頂点に君臨する量産ピアノで、その高い信頼性や工作精度の確かさはもはや世界の認識。
ヤマハはピアノ界のトヨタといって間違いありません。
とりわけアクションの精度の高さは、他の追随を許さぬものがあり、一説によれば「二位がないほど世界一」なんだとか。
そのためヤマハのアクションを使っているヨーロッパメーカーも存在するらしく、到底かなわないものは、それ自体を使ったほうが得策だという発想でしょう。
ヤマハのアクション技術の高さについては、多くの技術者さんが口をそろえて言われるところで、これについては批判の声を聞いたことがありません。
しかもそれは大量生産品であるとなると二重の驚きでもありますが、よくよく考えてみれば、その高いクオリティは最高級の機械による大量生産だからこそ成し遂げられたことかもしれない…とも思うことがあります。
手作り手作業が価値をもつピアノの世界ですが、手作業なら何でも良いというものでもなく、精度がものをいうパーツなど、高度な機械から生み出されるほうが好ましい部分も確実にある筈で、ヤマハのアクションはまさにその賜物だろうと思います。
その意味で、ヤマハはピアノ生産の新たな地平を切り拓いた偉大なメーカーと思います。
ただ、個人的な好みで云うと、このピアノも他で弾いたGPも同様ですが、アクションという複雑な構造をおよそ感じさせない軽やかなタッチは「弾きやす過ぎて、弾きにくい」とへんな言葉ですが、そう感じるのも事実です。
個人的にはもう少ししっとりした抵抗(重いという意味ではなく)や、弾いている実感が伴うがほうが好みではあります。
良心的な価格、高い品質、パワー、信頼感という点においては、これに勝るピアノはないのではないかと思いました。
しかもそれは西洋音楽の歴史もない、東洋のメーカーから生み出されたのですから、ヤマハの出現はピアノ界にとっては黒船だったことでしょう。
ショパン・コンクールの公式ピアノになったときも「はじめは我々も懐疑的だった」といっていましたが、カワイともどもよくぞそれを突破したものだと思います。
仰るとおり、アクションは精密な部分なので機械の方が正確なものが生まれるでしょうね。日本の工業製品はやはり突出していると言ってもいいのてしょうね。
確かにアクションだけで考えると軽快でとても弾きやすいものだと思います。ディアパソンとは全然違いました。
ただ軽快でコロコロっとしている分、ピアノと向き合って対話できる時間もあまりないような気もしますね。
ピアノのアクションは「高いクオリティで均一に揃える」ということが極めて重要ですから、そうなると機械の力には敵わないわけで、何もかも手作りの根性論だけでは、真に良い物はできないでしょうね。
ディアパソンもお使いだったんですね。
すべての楽器に言えることだと思いますが、対話ができたり、自分の心情を代弁してくれるような要素はどうしても欲しいところです。
奏者に寄り添ってくれるのはヤマハであり、奏者が寄り添っていくのはディアパソンだと、私は思います。
感じ方は人それぞれで、そこが面白いんだなあと思いました。
深く考えさせられるご意見で、しっかり咀嚼してみたいと思います。