二日目はバフ研磨で、電動工具を使うため、私はさすがに遠慮しましたが、何枚もの円形の布をバウムクーヘンのように重ねた部分が高速回転し、そこにコンパウンドの塊のようなもの(名前を失念しました)を当てながら、端から丁寧に磨いていくと、少しずつ艶らしきものが現れてきます。
バフがけは熟練を要する作業で、バフの当て方とか力の加減、動かす方向によって仕上がりを左右するので、見ているぶんには面白かったけれど、集中力を要する大変な作業で、大屋根は面積も広いため時間もかかります。
ひと通りバフ研磨が終わったところで、方々から角度を変えながら仕上がりをチェックし、少しでも磨き足りないところや、磨き目のムラなどがあるとすぐに修正が入って、そういうことが延々と繰り返されます。
これが終わるとピカピカですが、さらにここから極細コンパウンドによる鏡面磨きとなり、ここでは手作業となるため大いに手伝いました。
最後にピアノ本体に取り付けて完成ですが、2日間にわたって12時間ほどかかり、ヘトヘトに疲れましたが、そのぶん普段できない、貴重な経験をさせてもらいました。
これまで「外観だけ磨いて、中の整備はそれほどでもない」などと軽口を叩いていましたが、GPにしろUPにしろ、使用感のあるピアノの外観をきれいに変身させるまでには、実は相当な人手を経ていることが身をもってわかりました。
外観を磨くことをどこかで「ごまかし」のように思う部分もありましたが、これもれっきとした手作業の世界とわかりました。
プロと呼ばれる人たちの作業の丁寧さと、そのための集中と忍耐力には頭が下がります。
素人はワザ云々の前に、何時間でも黙々と同じことをやり続けるだけの忍耐力さえないわけで、やはりプロの仕事というのはすごいものだとあらためて知りました。
学びの多い、貴重な二日間でした。
↑バフ研磨が終わった段階。
ここからコンパウンドによる鏡面磨きと、まだまだ作業は続きます。
ピアノの表面はこのように磨かれるのですか。興味深く読ませていただきました。
技術者さんは同じ工程をさらにサイドも脚もなさるとは・・・本当に時間がかかりそうです。
こう考えると、ピアノはチューニングもお手入れも技術者さんに丸投げの部分が多くて、弾き手は自分の楽器に対して他人任せになってしまってますね。
技術者さんはすごいと思いました。
いつもはあれこれと注文をつけては勝手なことばかり言っていますが、それを引き受けて実現する側はいかに大変かということがわかっただけでもいい経験になりました。