おせちは不味い

毎年この時期になると予約だなんだとうるさくなるのが「おせち料理」です。
新聞の広告やチラシにもおせちの写真が登場しはじめ、12月に入ればそれはさらにクレッシェンドしてくるはずで、マロニエ君などはあの鬱陶しい写真を見るだけでもうんざりしてしまいます。

だいたいやっと夏が終わったと思ったあたりのタイミングで、もうテレビなどは今年の御歳暮商戦スタートだのお年玉付き年賀ハガキの予約がどうのという言葉が聞こえはじめるのは、マロニエ君にいわせるとこれはもはや季節感というようなものではなく、ちょっとの間も人に休息を与えてくれないマスコミによって、次から次に人心を煽り立てられるような印象しかありません。

そのおせちですが、このところ受注数が下降線気味という話を聞いたのですが、当然だろうと思いました。
最大の理由はおしなべて見た目ばかりで美味しくないのと、不当に高いその価格でしょう。
どんなに有名店のものでも、要するに作ってからかなりの時間が経過し、冷めて固くなっているような料理は美味しいはずもなく、せっかく準備しても誰も食べないというような話は何度聞いたかしれません。

業者はこの時期だけの稼ぎ時とばかりに力を入れ、中には10万、20万といった信じられないようなものまで登場してきて、それをまたテレビなどが業者の片棒を担ぐようにニュースとして声高に紹介するので、一時期価格はどんどん上がりましたが、このところの不景気を反映してか、再び価格は押さえ気味になっているとか。

それでも家人がデパ地下などにいくと、早くもおせちのコーナーがあり注文を受けつける態勢ができているそうですが、だれも見向きもしない様子だったということでした。

マロニエ君の家でも昔は数回付き合いで買わされたことがありました。
各店には従業員に振り当てられたノルマがあって、それを達成するために知り合いなどに泣きついてくるわけです。
たまたま知り合いなどにこういう人がいると、そう無下にも断れず、お付き合いさせられたことがあったのを思い出します。
一度などある有名なホテルのおせちとやらで、それを頼み込まれて、しかたなくお付き合いで注文したところ、大晦日に恭しく届けられましたが、果たして中はとりたててどうということもなく、海老やいろんなものをあれこれ巻いたようなものが並べられているだけでした。どれも冷たくて固くて、はっきり言ってぜんぜん美味しくもなんともありませんでした。

だれも積極的に食べず、もったいないからという理由で無理して口にするのがせいぜいです。
これでも高い方ではなかったものの、それでも数万円はしたはずで、あんなものにそんなお金を使うぐらいなら、何回普通に美味しいものが食べられるか知れやしません。

だいたい季節に限定したものというのは、昔ならたしかに風情があってよかったと思いますが、現代ではそこに目を付けた業者の商魂まみれの汚い手がいやらしいほどに突っ込まれているので、そんなことならあんな悪習は止めてしまった方がいいような気がします。
あとひと月ちょっとですが、お正月なんて、お雑煮を食べてゆっくりできればそれでじゅうぶんです。

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