昨日の青蓮院とは打って変わった話題です。
マロニエ君は普段、テレビはあまり見ないほうなのですが、それでも告白すると子供じみた趣味があって、「衝撃映像」の類の番組は嫌いじゃないので、それらしい番組があるときは録画をしておいて、ときどき見ています。
先日録画した番組を見たところ、ちょっと予想したものとは内容が違うのでもう止めようかと思っていたとき、ゴールデンタイムの全国放送番組にもかかわらず「福岡の…」という言葉に反応して、つい何事かと我慢して見るはめになりました。
さてそこに出てきたのは真っ赤な特別なフェラーリに乗ってあらわれたある人物でした。
よくある露出好きなお金持ちの持ち物自慢のような内容で、いきなりそのフェラーリがいくら、今はめている腕時計がいくら、来ているスーツがいくらといった調子で、番組はその億を超えるという特別なフェラーリに同乗して自宅へ行き、さらに驚愕のお宅拝見という流れです。
マロニエ君はこの手の番組は嫌悪感を覚えるので普段なら絶対に見ないのですが、それでも福岡にそんな凄まじい人がいるとは思わなかったために、つい驚いて、怖いもの見たさに見てしまったのです。
自宅は人の住む場所というより、どこかのブランドショップか夜のクラブかと見まごうような強烈な趣味で埋め尽くされており、車も超高級車がズラリと並んでいるあたりも、いかにもこの手の人達のお決まりのパターンです。
広大な敷地内には、メインの建物のほかにも庭を隔てて二つの別棟があり、屋内プールだの高級料理店を出張させ友人を招いてのホームパーティだのと、これでもかという自慢のオンパレードで、スタジオのタレント達もお約束通りに感嘆詞を連発しています。挙げ句にはアメリカに所有しているプライベートジェットでどうのこうのと、こんなことをこれ以上詳しく説明するのもナンセンスですから止めますが、とにかくドバイの金持ちかなにかが突如我々の住む街に現れたという印象でした。
やはりというべきか、この人も借金取りから追われるほどのどん底からのし上がったとのことで…納得です。
ところがあることで(具体的なことは控えますが)、ちょっと心のどこかに、なにか小骨がひっかかるような感じを覚えました。
そこで、さっそくネットの情報やグーグルの衛星写真などで確認したところ、やはり予感は的中。
なんとここは以前マロニエ君の大叔父の家だったところだったのです。この人物が購入後に、昔の純日本式の家屋や庭園を根こそぎ消し去って、ゼロから作り替えたことで出来上がったド派手な家だということがわかり、そのショックには思わず鳥肌が立つほど胸がバクバクしてしまいました。
はじめはてっきり郊外の広い土地にでも建てられたものだろうと思っていたのですが、現実は我が家から車で10分もかからない場所だったわけで、昔の住宅街の奥まったところなので、普段車で通ることはないのです。
よせばいいのにその前を何年ぶりかで通ってみると、テレビで見たあの強烈な家は間違いなくそこにありました。
ここはマロニエ君が子供のころにはよく遊びに行っていた思い出深い家でしたが、その大叔父も5年ほど前に老衰で他界し、その後は遺族がマンション建設をやりかけたものの周囲の反対運動に遭って実現せず、やむなく売りに出されていることは知っていました。
それが結果的にこういう人物の手にわたり、しかもあんな姿に変わってしまったというのは、上手く言葉で表現はできませんが、予想だにしない意味での「衝撃映像」となってしまいました。
もちろん普通にマンションになったとしても昔の家や庭園は無くなってしまうわけですが、あまりにも思いもかけない結末で、平家物語に記された諸行無常とはさてもこういうことかと思いました。