ピアノの置ける物件

知人がグランドピアノ購入を決断したことはこのブログの11月9日付けで既に書いた通りです。
ピアノはおそらく日本に向っている最中だと思われますが、知人はすでに新しい部屋探しをはじめたようです。

聞くところでは、不動産屋に行ってピアノの置ける物件を探しているという意向を伝えると、何故かグランドかアップライトかをしきりに聞いてくるそうです。
どちらでもピアノはピアノであるはずなのに、思いがけない質問を受けて知人は困惑したらしいですが、仕方がないので「家庭用の小さなグランド」というふうに控えめに答えたとか。

ところがマロニエ君も今になって知ったことですが、ピアノOKのマンションでもグランドはダメというところがあるんだそうです。
理由は明確な根拠があるわけではなく、専らオーナーの意向だとか。やはりグランドピアノというと言葉の響きも手伝って、アップライトより大きくて、本格的で、音もうるさいというイメージなんだろうと思います。

驚いたのはもう一つの理由です。グランドのほうが重量も重いうえに足が3本で、一本当たりにかかる重量が大きくなるというもので、あまりにくだらなくて呆れてしまいました。
現に大きな131cm級のアップライトピアノに比べると、小型のグランドのほうが重量も軽いことがあるわけですし、部屋の隅などに重量物を偏って置くよりは、より床を広く使って満遍なく重量をかける方が構造力学的にも遙かにバランスが良く、結果として傷みも少ないように思いますが。
さらに、きちんとインシュレーター(足の車輪を乗せるお皿)を使えばピンポイント的に重量がかかることもないし、だいいちピアノを置いたぐらいで床がどうかなるなど、いまどきの鉄筋建築でそんなことってあるだろうかと思いますが。

マロニエ君にいわせると、そんなことよりも誰が弾くかという点こそが問題で、ピアニストは論外としても、本格的にピアノを学ぶ子供や受験生・音大生などなら練習量も多く、警戒されるのは当然かもしれませんが、趣味の勤め人が、たまの仕事の休みに1、2時間弾くのならそう目くじらをたてるようなことではなかろうと思います。
もちろん弾く時間帯などの近隣への配慮が大切なことはいうまでもありませんが。

不動産屋によるとその判断は、各物件のオーナーの理解度にかかっているとのことだそうです。
トラブルや床の破損を避けたいという心情はわかりますが、現実的に今、賃貸マンションの入居率は猛烈に低く、家主は入居者の獲得に躍起になっていると聞きますから、あまり厳しいことを言っていては大事なお客さんを逃してしまうことになるようにも思いますけど…。

現にマロニエ君の友人が居住しているマンションは、ほぼ都心部の、電車の駅も歩いて5分という好立地にもかかわらず、みごとに3分の2が空室になっていると聞きます。

ある知り合いなどは、何の相談もせずにマンションにグランドを運び込んで子供が弾いているそうですが、とくになにも問題はないそうですから、すべてとはいいませんが意外と黙ってそうすればすんなりいくということもあるかもしれません。
管理者のほうの心理も、あらたまって許可を求められると、逆に不安になってつべこべ言ってしまうのかもしれませんね。

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