島村楽器

天神に出たついでに、久しく行っていなかった島村楽器を覗いてみました。
このビルの同じフロアには以前、銀座山野楽器が入っていて、マロニエ君もずいぶんCDを買ったものですが、すでに撤退して久しく、いまはその面影もありません。

山野が出店していた場所のすぐ近くに島村楽器ができたのはいつごろのことだったでしょうか。
そのころはポピュラー音楽系の楽器などがメインでしたが、その後売り場を拡大してピアノなどを置くようになりました。

ずいぶん久しぶりでしたが、その理由のひとつは商業施設ビルの5階にあるためわざわざそこへ上がらねばならず、通りすがりにちょっと立ち寄る感じというわけにはいかないためです。
知らぬ間に売り場面積はいよいよ拡大したようで、とりわけギター関連の商品の充実は著しく、まさしくぎっしりと並べられていて、これは以前に書いたパルコに出店している何とかいう楽器店の向こうを張った処置だろうかと思われました。

そのすぐ隣がピアノと電子ピアノと、あとはヴァイオリンやフルート、楽譜など、片方のポピュラー系に対してこちらがクラシック系というような感じになっています。
マロニエ君は元来こちらにしか興味がないものの、しかしギター関連の品数もただ事ではない数なので、思わず店内を一巡してみましたが、いやはや色とりどりのさまざまなギターなどが立錐の余地もないほど展示されている様は壮観でした。

ピアノ関連の売り場とは壁一枚隔てており、いちおうの区別がしてあります。
こちらのほうがとくに売り場面積が増えているようで、平面には実にさまざまな電子ピアノがズラリと置かれており、本物のいわゆる生ピアノは何台あったか詳しくはわかりませんが、少なくともグランドは2台ありました。

一台はプレンバーガーの新品で、もう一台はスタインウェイのS(奥行き155cmの最小グランド)が展示してあり、これはシリアル番号から察するに実に70年ほどの前のピアノですが、見たところ完全なオーバーホールがされていて、塗装もなにもかもがピカピカで、何も知らない人が見れば新品と思うような美しい仕上がりでした(もちろんこれは見た限りの話です)。
タッチや音は弾いてみないとわかりませんが、店のちょっと奥には店員が3〜4人じっと待ちかまえているのがわかったので、とてもそんなことをする勇気はありません。

とくにピアノ関連の売り場というのはお客さんが少ないので、一人でも入店するとたちまち注目の的になってしまいますが、できることならもう少しだけ自由に商品を見られる雰囲気を与えてくれたらと思います。あまりにも「待ちかまえている」といった格好なので、あれではよほど気の強い人か図太い神経の持ち主、あるいは買う気満々の人でなければ、ゆっくり見て回って、ましてや音を出してみるなんて事はできませんから、もしマロニエ君が経営者ならちょっとスタンスを変えてみるかもしれません。

まあ、そうはいっても、こっちは見るだけなので、よけいにそこのところが痛切に感じられてしまうのかもしれませんが…。それでもそのスタインウェイのSがあまりにきれいな仕上がりだったので、ちょっと感心してジロジロみていると、店員の中から一人の女性が、まるで意を決したナンパ師のように決然とこちらに歩み寄ってくるのがわかりました。
「グランドピアノをお探しですか?」と声をかけられてしまいました。

「ちょっと見せていただいているだけです」と答えたら、どうぞ!と笑顔で少し距離を置いてくれました。
でも結局は話しかけられたお陰でザウター(南ドイツのピアノメーカー)のオールカラーの分厚くて立派なカタログをもらってしまいましたので、結果的にはラッキーでした。

この島村楽器は関東ではかなり輸入物のピアノ販売にも力の入った会社なので、できることならせめてグランドを5〜6台は置いてほしいところです。というのは、いくら店構えが大きくてもグランドが2台ではいわゆる専門店というイメージには至らず、たんに主力の電子ピアノの脇に本物の高級品もいちおう置いてますよという印象しか抱けません。
それが一定数まとまればお客側にもインパクトとなり、専門店としての認識も得られ、ひとつの勢力にもなるような気がしますが…そのためには天神の一等地では難しいかもしれませんね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です