赤い糸

過日、長らく独身だった友人がようやく結婚することになり、親に会わせるために帰省しました。
マロニエ君と同年代ですから、晩婚もいいところです。

音楽の先生にも彼女を連れて挨拶に行くので、よかったらぜひ来てくれと言われて、マロニエ君も興味しんしんで会ってみたかったので先生宅に伺いました。

果たして友人は彼女を連れて現れましたが、やはり結婚するような二人というのは、傍目にも収まりがいいもんだと思いました。なんでこの二人は付き合っているんだろう?と思うような光景がよくあるもんですが、そういうのは大抵ダメになったり別れてしまったりで、結局は結婚には至りません。
あるいは、上手くいっているように見える場合でも、一定の期間内に結婚へジャンプしなかった場合も、やっぱり破綻するケースがありますね。

その点、結婚するような二人というのは、音楽のように一定のテンポと流れと展開があって、最終的に落ち着くべきところに落ち着くもののようです。
ちなみにこの二人は出会いからわずか4ヶ月で結婚が決まりました。
特別な理由もなく何年もダラダラと付き合っているような場合は、逆にチャンスを逸してしまって、そのうちどちらかが愛想を尽かして終わったりしますから、出会いから結婚までエネルギーを絶やさない流れというのは非常に大事だと思います。

マロニエ君の別の友人には、10年も付き合って長年一緒に暮らした挙げ句、突然あっけなく別れてしまうカップルなどがいて、こっちのほうがビックリ仰天することがあるものです。

結婚する二人、あるいは結婚した人を見ていると、こちらが内心で思うところはいろいろあっても、結局はバランスが取れているもので、だからこそ結婚という人生の一大事業を成し遂げられるのだろうと思います。
結婚する二人というのはおかしなもので、互いの欠点がそれほど気にならなかったり、大した我慢でなしに自然に許せたりするようで、第三者のほうがよほどびっくりするような事にも平然としている場合が多く、ただもう呆れ返ることしばしばですが、これこそ相性というものでしょうね。
そういう驚きを持って眺めることのできるとき、月並みですが「赤い糸」という言葉を思い出してしまいます。

この友人に限らず、結婚を決断した二人というのは、人生で最も前向きな表情をしているように思えます。
互いに人生を共にする相手ができたということで、ほどよい緊張と幸福が交錯して、何をするにも輝きがあり、充実した時間を慈しむように過ごしているようです。
なんでも自然に前向きに捉えることのできる、人生のなかでもごく短い時間のようです。

これがひとたび結婚して一年もすれば、こんな充実した様子というのは煙のように消え去って、祭りの後のような素面が二人を隈取ってしまうのでしょうが、さらにそれを乗り越えたときに、正真正銘の夫婦になるような気がします。

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