あらし

例年にない寒波が続くこのところの天候ですが、その中でも昨日の夜(2011.1.15)の寒さは一段と厳しいものがありました。

そんな夜、予定があって出かけたのですが、気温はほぼ0度に近く、おまけに方向の定まらない風がふくものだから寒さは倍増です。どう考えてもおよそ九州地方の天候とも思えない猛烈な寒さと荒れた天候です。

友人を迎えに行って、それから西に向かって都市高速に乗りましたが、これが失敗でした。
突風は都市高速のような遮蔽物の少ない道路になると一層強烈で、下の道の何倍もの威力で轟然と吹き荒れていました。そのたびに車体は右に左に風の圧力を受けて、真っ直ぐ走るだけでもめっぽう大変です。
その頃になって気が付きましたが、このお天気ですから、まわりもほとんど車がなく、ほぼ貸切状態でした。

普通なら喜ぶところですが、さすがにあの強烈な突風で、しかもどっちから吹いてくるかもわからない嵐のような状態ですから一気に心細くなってしまいました。
風というのは通過するときにはものすごい音がして、そのたびに車があっちにこっちに流されて、はじめは笑っていましたが、だんだん恐くなりやたら緊張させられます。しかもその突風の中に白い粉雪が混ざっていて、ライトの先に荒れ狂う様が見えるので、まさに恐怖映画の真っ只中という迫力じゅうぶんです。

普段なら都市高速に入ればそれなりのドライブを楽しむマロニエ君ですが、この日ばかりはゆっくりゆっくり前に進むだけでも精一杯でした。途中で降りることも考えなくはなかったのですが、なんとか行けるかもという甘い期待もあってなんとか走り続けると、次第に海が近くなり、天神を超えると荒津大橋(ハープ橋)があることを思い出しました。
ここは福岡の都市高速の中でも最も高い位置で、路面は地上40mに達し、おそらくビルの10階以上はあるはずです。しかも右は博多湾で周囲は何もない正真正銘の吹きさらしときていますから、ただでさえ強すぎる突風も最高潮に達するはず!

ハープ橋へ至る最後の上りカーブあたりから風も一段と残忍さが増してきて、本当に車ごと飛ばされるのではないかとこの瞬間は思いました。天神で降りておけばよかったとも思いましたがどうすることも出来ず、このまま上って行くしかありません。
このハープ橋は、ずいぶん前にもオートバイが下に転落して死亡事故が起きていることも、そんなときには妙に思い出すものです。本当に飛ばされる可能性もあると感じたので、この時は右からの風だった為、万一の場合少しでも余地を残すべく、あえて右側の車線を走りましたが、荒れ狂う暴風の中、ハンドルにしがみついて息もつかず、なんとか無事に渡り終えました。

不思議なもので、この難所さえ通過すればあとは大丈夫という気になり、とうとう終点まで行きましたが、愛宕から先は防音壁などがあるので、比較的安全に行けたこともありました。
自分は走っておいてこんなことを言うのもなんですが、あのような日は都市高速は通行止めにすべきだと本気で思いました。とくにハープ橋の前後は危険度も著しく、ちょっと背の高いトラックなどは下手をすると木の葉のように飛ばされても不思議ではない状態でしたから。

帰りはもちろん都市高速はこりごりで、国道を走って帰りましたが、ある大学の官舎のある交差点でのこと。歩行者用信号は赤なのに、とつぜんこちらに向かって歩行者が闇の中から走り込んできて、咄嗟に急ブレーキと急ハンドルで間一髪避けることはできましたが、事故にならなくて本当にラッキーでした。
思わずカッときてクラクションを鳴らしましたが、見るとカバンを持ったやや年輩の男性で、逃げるように官舎の中へ入って行きましたので、おそらく大学の先生だろうと思います。
このとき外気は氷点下に達していましたから、寒さに耐えがたく赤信号を強行突破してでも早く自宅に帰りたかったとすれば心情としてはわかりますが、しかしとんでもない行動で、こんな嵐のようなときこそお互いに安全には普段以上に注意したいものです。

友人によると翌日は福岡ドームで「嵐」のコンサートがあるとかで、まさか前夜のこの天候はその前座なんではなかろうかと思いました。

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