クローンみたいな他人

世の中には、赤の他人でもまるで双子のように似ている人がいるというのを知ったのは、ピアノニストの小菅優さんをはじめて見たときからでした。
マロニエ君の友人に小菅優さんと瓜二つの女性がいて、その昔、彼女は同じ仲間内のクラブ員でした。

折あれば良く顔を合わせる人だったので、彼女の顔はよくよくインプットされているのですが、とにかくその彼女と小菅優さんとは気味が悪いほどそっくりなのです。

友人のほうは既に結婚して子供もできたので、以前のようにしばしば顔を合わせる機会はなくなりましたが、CD店などに行ってふいに小菅優さんの顔写真のついたジャケットをみると、それだけでいまだにギョッとさせられます。
顔はもちろん、大まかな体つきとか、醸し出す雰囲気までそっくりなので、一瞬その友人本人がCDを出しているように見えるのです。

もっともその人はピアノはまったく弾けません。
でももし「実は双子の姉妹がいて、彼女はピアニスト」と言われれば、すぐに信用したでしょう。
彼女は三人姉妹の末っ子で、上の二人のお姉さんにも会ったことがありますが、なんのなんの小菅優にくらべたらまったく他人ほどの顔をしています。
さて、マロニエ君はいつもNHKのクラシック倶楽部という番組を録画しているので、時間のあるときによく見るのですが、近ごろその中に樫本大進・川本嘉子・趙静・小菅優によるピアノ四重奏演奏会というのがありました。

普通だと写真で似ているように見えても、動く姿などを見ていればその違いがだんだんはっきりしてくるものですが、小菅優さんに限っては、まったくそういう段階に押し出されるということがありません。
今回もまた、あらためて映像を見てみて、やはりこの似かたはただ事ではないと思いました。

昔から、世の中には自分とそっくりな人が3人(でしたか?)いる、などといわれますが、もし自分とこれほどそっくりな人がいたとしたら、マロニエ君はとてもじゃないですが気持ち悪くてかないませんから、まちがっても会いたくはありませんね。

ところで、小菅優さんは、その演奏する姿がいつも情熱的で、音楽にノリノリのような激しい燃焼感を伴っているように見えるわりには、音がいつもくぐもっていて不思議というか、もうひとつはっきりした音が出ないピアニストのように感じていましたが、今回の映像でも同様の印象を受けました。
カーネギーホールのライブや小沢征爾とのメンデルスゾーンのコンチェルトを入れたCDも買いましたが、やはり音がモコモコしていて、ふわふわに柔らかいハンマーで鳴らしているピアノのような感じです。
柔らかいだけなら結構ですが、明らかに鳴らないのはストレスです。

よほど非力な人なんだろうかとも思いますが…とてもそういうふうにも見えませんし、なんだかとっても不思議なピアニストです。

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