個人ホール

今日は珍しいコンサートに行きました。
ヤマハでチラシを見て興味を覚え、赴いたピアノのコンサートです。
内容は大分出身という知らないピアニストのリサイタル。

そもそも何に惹かれたかというと、その会場でした。
南区にあるという「みのりの杜ホール」というこれまで一度も見たことも聞いたこともない会場なので、チケットも安かったし、どんなところか見物がてら行ってみることにしました。
あらかじめ主催者に電話で問い合わせをしたところによると、なんでも会場は個人の自宅の別棟に作られたホールとのことで、ますます興味が湧いてきて、普通だったらプライベートホールをただ拝見というわけにもいきませんが、公に発表されたコンサートであれば何憚ることなく行くことが出来ますから。

市の中心部からやや南に位置する場所にあるそこは、カーナビがなければちょっとわからないような入り組んだ住宅街の中で、なるほど大きな敷地のお宅のようです。
駐車場もあるのでそこに車を置かせてもらって、まるでよそのお宅に入るような感じで玄関を入ると間違いなくそこは今夜開かれるコンサートの会場でした。

玄関を入ると、美しい木の感触のある会場が奥にあり、中へ入ると床はきれいなフローリング。椅子がピアノのほうへ向けてずらりと並べられていますが、思った以上に立派なところでした。
しかもピアノはハンブルク・スタインウェイのD型であるのに二度ビックリ。

場所が不慣れな上に、18時半開演ということで、夕方のラッシュアワーになる可能性もあるので早めに出かけたところ、予定よりも少し早く到着し、まだお客さんはまばらでした。
そのスタインウェイはとてもきれいなピアノで、開演前にちょっと拝見したところ20年ぐらい前のもののようで、フレームには野島稔氏のサインなどがありました。

個人でこんな空間を作って、オーナーは人知れず音楽家を招いては楽しんでいらっしゃるのでしょうか。
見たところ50人ぐらいは収容できそうな感じでした。

前半はコントルダンス、ノクターン、マズルカ、バラードなどショパンが弾かれ、後半はドビュッシーの数曲を経て、武満の雨の樹素描II、メシアンの幼子イエスにそそぐ20の眼差しから第20曲「愛の教会の眼差し」が演奏されました。
とくに演奏に感想はありませんが、この夜一番の聴きものはメシアンであったのは論を待たないと思われます。
音楽を通してまさに宗教の一場面に立ち会っているかのようで、これ一曲でも聴けて良かったと思いました。

ピアノに関しては感じるところはありましたが、公開された有料のコンサートとはいえ、個人の持ち物である可能性を考えるなら、やはりあれこれと印象を述べるのは遠慮しておきます。

演奏がすべて終了して帰ろうと席を立ったとき、一人の方からふいに話しかけられました。
見るとピアノサークルのメンバーの方で、長らく参加されていなかった方の姿がそこにありましたが、マロニエ君の姿を見つけてお声をかけてくださったようでした。
この方はピアノもお上手ですが、とてもおもしろいタロット占いをされるので、またぜひ占いを見せてくださいとリクエストしておきました。
この日はお勤め先の方と来られていたようですが、全体的な客層はみなさんなんらかの繋がりのある方ばかりが大半を占めているという、マイナーコンサート特有のいかにもな感じでした。

それにしても、今日はめったにない体験が出来ました。

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