土曜日は珍しいものに行ってきました。
現在所属するピアノサークルのリーダーを含む3人が、たまたま同じ大手楽器店の音楽教室に通っているのですが、そこのメンバーズ・コンサートというのがあるというので、聴きに行ったのです。
おまけに、我らがリーダーには素敵なお相手らしき人が現れ、さらにはこの日は彼の誕生日でもあったというのですから、なんだか出来過ぎといった趣でしたが、ともかく結構ずくめなことです。
会場はアクロスの円形ホールで、実はマロニエ君はここはなぜかこれまで入ったことがなかったので、どんなところか中を見てみるのも楽しみのひとつでした。
出演者はリハーサルなどでずいぶん前から会場にいるとのことで、開演1時間前に行ってみると、あたりは関係者ですでにガヤガヤと賑わっており、出演者一同で記念撮影などがありましたが、ざっと見渡しただけでも実にいろんな方がおられて、これはまたピアノサークルとはだいぶ違うなあ…というのが率直な印象でした。
大手楽器店の主催で、素人の運営ではないのはわかりますが、演奏するのは教室の生徒、すなわちお店のお客さんであり素人であるにもかかわらず、きちんと入場料が設定されているのはいささか驚きでした。
まあ、大半は場所代や経費に消えていくんでしょうけれども。
ロビーで雑談などしていると、次々にサークルの人がニヤニヤしながら現れたのにはお互いびっくり。
最終的に6人ものピアノサークルメンバーが任意で応援に駆けつけたわけで、つい先日、定例会で顔を合わせたばかりの人達と、また思いがけなく顔を合わせることができました。
まあそれだけみんな親しくなっているということでもあり、このようなサークル以外の場所で会ってみると、すでに内輪の感覚を覚えるようになっていることは、なんとも温かい嬉しい感じがするものです。
コンサートは、ピアノだけではなく、サックスあり、ヴァイオリンあり、弾き語りありと実に様々な老若男女が出てきては、それぞれの練習成果を発表していました。
演奏はピアノサークルとはまた違う雰囲気で、はじめはやたらと圧倒されっぱなしでしたが、終わってみればなかなかおもしろい愉快なコンサートでもありました。
いまさらですが、音楽というものが文学や美術と根本的に違うのは、泣いても笑っても、その日その場所その時間に演奏しなくてはいけない一発勝負の世界であるという点で、これはプロもアマチュアも同様ですね。
家でいくら上手くできたなどといっても通用しないのは、音楽だけがもつ厳しい部分ですが、もしかするとその危うさも音楽の不思議な魅力なのかもしれません。
そういう一過性という意味においては、音楽の演奏はスポーツと共通しているかもしれませんね。
一回の発表に向けて、日々の練習を積み重ね、しかもその結果はもしかすると失敗に終わるかもしれないという危険性を孕み、興味のない人から見ればひじょうにばかばかしいような、無駄にも思えるような事を熱心に、せっせとエネルギーをかけてやるということ。
こういうことは、実は人間にとっては非常に大切な、精神的にも実り多い事のような気がします。
今はハイテクのお陰で多くの事が気軽にできてしまう時代になりましたが、そんな中で、楽器演奏の練習ほどローテクの極致みたいなものはないような気もします。
今のような時代だからこそ、敢えてそういうことにかかわるということは、なかなかよい人生修行にもなるのかもしれません。
帰りは毎度お馴染みの食事会となり、さらにお約束の二次会へとなだれ込み、帰宅したのもまたしてもトホホな真夜中でした。
べつに音楽談義をするでもなく、もっぱらくだらないことばかりワアワア言い合っているだけですが、そういうピアノの仲間ができたということはなによりも嬉しいことです。決してきれい事ではなくて。
ちなみに、アクロスの円形ホールは、ちょっとホールと呼べるようなものではなく期待はずれでした。
アクロスに最も欠けているのは、シンフォニーホールとの大きすぎる隙間を埋めるような、使い勝手のよい小ホールを作らなかったことではないか?という気がしますが…。