野次馬根性

昨日の午後遅く、用があって天神に行ったのですが、いつものように車で自宅を出て1〜2分、1キロも走らないあたりで前方にどういうわけか人がたくさんいるのが目に入りました。

それは、ちょうど坂道を下った先にある交差点のあたりで、一目見て、いつもとはまったく違うその気配に何事だろうかと思い、車が近づくにつれて目を凝らしました。
ちょうどその交差点の信号が赤になり、上手い具合に停車することになりましたが、とにかく黒っぽい男性の姿が多く目につき、なんとテレビカメラのようなものを担いだ、見るからにマスコミ関係とおぼしき人達もその中にたくさんいて、皆一様にむかって右側を凝視しています。

それだけではなく、なにか非常に緊迫した雰囲気があたり一帯に漂っていて、なにかが起こっていることはもう明らかでした。さらによく見れば、交差点から右斜めに伸びる道の入口にはロープがかけてあって、もはやその道は立入禁止になっています。
警察官も大勢いますから、もはやこれはタダゴトではないことは一目瞭然でした。

ちょっとした事故や事件なら世の中のあちこちで散発しているでしょうけれども、これだけのカメラの数からしても、どうやら並の事件ではないと思いました。

道も俄に流れが悪くなり、幸いにもサッと現場を通り過ぎることはできなくなりましたから野次馬としてはチャンスです。
そうこうしているうちに先の信号が赤になり、事件現場らしき場所の近くで停車をせざるを得ない状況になりましたが、もうひとつの路地の入口にはテレビニュースなどでよく目にするブルーシートが道幅いっぱいに張られていて、その先の様子を窺い知ることはできなくなっています。

それにしても、あのブルーシートというのはそもそも中の様子を見せないために張るものでしょうが、なんとまあその生々しい青色の目立つことか!まるで「問題の核心はこの先ですよ」と教えてもらっているみたいで、あんなものを見たが最後、いやが上にも好奇心が膨れ上がるものです。

野次馬根性旺盛なマロニエ君は、もうそっちに目も心も釘付けです。
信号が青にならないことを祈りつつ窓を開けて見ていると、中年の女性が二人歩道をこちらに歩いてきましたが、制服は着ていないものの警察関係者とおぼしき男性に両手を広げられ、これより先へは行ってはいけない旨を告げられているようです。

そんなところで信号は青になり、この降って湧いたようなウォッチは終了となりましたが、気になる気持ちはとうてい収まるものではなく、天神に着いてすぐに友人に電話して事のあらましを言ったところ、インターネットのニュースを見てくれて何事かがようやくわかりました。
地元の電力会社とガス会社の社長宅に爆発物が仕掛けられて、そのための騒ぎだったようで、てっきり殺人事件かなにかと思いこんでいたマロニエ君としては、へぇ……という印象でした。

そういえば昨日の午後は、やたらヘリコプター(しかも複数の)が我が家の上空あたりを長時間ひっきりなしに飛び回っていたので、ずいぶんうるさいなぁと思っていたところでしたが、どうやらこの事件のせいのようでした。

帰りもむろん同じ道を意識的に通りましたが、依然としてブルーシートなどは張られたままでしたが、報道陣の姿は潮が引いたようになくなっていました。
なにやら、やたらわくわくさせられたマロニエ君でしたが、帰宅した頃には騒がしかったヘリコプターの音もすっかり消えていました。

テレビニュースよれば怪我人などはいなかった由で、ひとまずなによりです。

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