ユーザー車検

以前からの約束で友人の車のユーザー車検に付き合いました(というか、やってあげました)。

マロニエ君はユーザー車検の経験はかなりあるほうなのですが、何度やってもドキドキさせられるものです。
それはつまり、書類さえ出せば済む事務的な世界ではなく、実際のラインに車を持ち込んで各種のテストを受けなければいけないことで、ひとつでも不合格になれば絶対に新しい車検証は交付されない、いわゆる「受験」だからだと思います。

とりわけ福岡の車検場の近くには「予備検査場」といわれる場所がないのが苦痛をいっそう駆り立てます。
予備検査場というのは本番の車検場で検査される各項目で、合格できるかどうか予め診てくれる民間の自動車整備工場のことで、多くの車検場の近くにはこの手の工場があるのが普通なのですが、なぜか昔から福岡の検査場付近にはこれがないために、どうしても「ぶっつけ本番」となるわけです。

ユーザー車検を受けるには、必ず予約をしておかなくてはならず、しかも予約には午前午後に分かれる4つの時間帯のうちのどれにするかも前もって決め、さらに予約に際しては受験者の名前から車のエンジン形式や車体番号まで細かく申請しておく必要があります。

事前に準備するものと、陸運支局で買い揃えるものの両方で10枚近い書類もまた、どれひとつして欠けることは許されません。まさしくここはガチガチのお役所なのです。
予約ができていて、すべての書類のすべての項目に一字たりとも遺漏なきよう完璧に記入して窓口に提出し、これが通過できてはじめて人車共々、車検場への入場となります。

検査ラインの該当レーンに並び順番を待ちますが、自分の番が近づくと制服の検査官が寄ってきて、再度書類のチェックがおこなわれ、これに問題なければ車輌の事前審査が開始されます。
すべてのランプ関係のチェック、ワイパーやウインドウウォッシャーの作動、ホーン、ホイールのボルトのしまり具合などから、窓ガラスの色の濃さまでチェックされ、最後にエンジン型式と車体番号の書類と実車の照合が厳格におこなわれます。
このエンジン型式と車体番号というのは車によって刻印された場所がまちまちで、しかも非常にわかりにくい場所にある場合も多いのですが、いかなることがあってもこれが疎かにされることはありません。
どんなにわからなくても時間を要しても、徹底的に探し出されての照合です。

これらに合格すると、いよいよ検査ラインに入ります。
ここで検査されるのはサイドスリップ、フットブレーキ、パーキングブレーキ、スピードメーター、光軸、下回り検査、排ガス検査となります。
サイドスリップとはきちんと真っ直ぐに走るかどうか、スピードメーターは正しく表示されているか、ヘッドライトは定められた方向をきちんと向いているかなどを検査、下回りはハンドルのガタやオイル漏れなどが係官によってチェックされます。
検査項目のうち、どれかひとつでも不合格が出れば、問題箇所を修正して合格できるまで再検査となります。

今回は光軸で不合格が出て、左の前照灯がやや上を向きすぎているという結果が出ました。
ここからが戦いで、建物の壁にライトを照らしてまさに勘で調整しますが、決められた時間内に結果が出せなければ後日の再検査となります。
結果的には時間内に3度目の検査で無事に合格することができましたが、その間の緊張はなかなかのものでかなり心身共に疲れるのは事実です。
もちろん不合格の内容によっては、当日では解決できない修理を要することもあるのは言うまでもありません。

今回、新しい規則となっていたのは、再検査のたび毎に、かならず検査官が車体番号のチェックをするようになったことで、これはおそらく別の車を使って項目別の合格を得ようとする、不正に対する防止策だと思われました。

つい最近、京大などの入試で携帯電話を使った不正が発覚しましたが、どんなところにも悪知恵を働かせる輩がいるために、鼬ごっこは尽きることはないようです。

しかし、すべてを通過して新しい車検証を手にする喜びは、これまた何度やってもバンザイしたいように嬉しいものです。

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