津波映像

地震の発生から3日目を迎えるころになると、とくに様々な津波の映像が出てくるようになり、どれひとつを取っても、その想像を絶する恐ろしさには日本中が呆然としていることでしょう。
(海外も大変注目しているそうで、連日、報道のトップの扱いの由)

私達はCGの発達などによって、過激なパニック映像というだけなら目にするようにはなりましたが、やはりどんなに精巧に出来ていてもCGは所詮作りものであって、その点、本物というのはどうしようもなく本物、まさしく現実で、だから受ける衝撃も並大抵のものではありません。

はじめのころは、報道されたいくつかの沿岸地域が主にこれらの被害に遭ったのだと思っていましたが、そうではなく、ようするに東北部の太平洋側に面した地域は例外なく同様の被害を受けているということであるらしく、その恐ろしい破壊規模たるや、これはもう、ちょっとした核攻撃でも受けたのと同様のむごたらしい被害だという気がします。

今日などは沿岸部の被災地を報道ヘリからの空撮によって津波被害の映像が流されましたが、「壊滅」という言葉はまさにこういうことのためにあるのか…と思うような惨状でした。
かろうじてその形をとどめているのは鉄筋の建築物などで、それらがわずかに点在するのみで、あとは瓦礫の散乱するだけの土地になってしまっていて、似たような光景をどこかで見たような記憶があると思ったら、広島長崎の原爆投下後の町の様子を空撮した写真でした。

はじめは、津波が来るという通報によってせっせと高台に登った人達の目の前で、普段自分達の住み慣れた町が悪魔のような激流によって弄ばれ、ついには自分の家の屋根が動き出して、それが容赦なく破壊されながら流れにさらわれていくときの、その心中を考えると、まさに気も狂わんばかりだろうと思われます。

これから長い長い、気の遠くなるような復旧作業がはじまるのでしょうが、もはやそういうことに耐えられない方も現実に多くおいでだと思います。人間にとって家族を失う、住む家を失うということ以上に耐えがたいことがあるでしょうか…。
ある意味においては自分の命を失うことよりも恐ろしく耐えがたいことかもしれません。

当初発表されていた東北地方太平洋沖地震のマグニチュード8.8は、今日になってM9.0へと変更されました。
我が国では観測史上最大で、これまで立てられていたあらゆる予測を大きく上回る規模のものだったということです。

そこで気がついたのは、今回の大地震での甚大な被害は津波によるものがなにしろ圧倒的で、これだけの未曾有のスケールの大地震だったにもかかわらず、地震そのものの揺れによって発生した被害というのは、地震の規模から考えればそれほどでもないような気がしました。
外国の大地震では建物のことごとくが揺れで押しつぶされたり倒壊したりというのがごく当たり前ですが、この点は数々の地震を経験し、それに備えて熱心に耐震構造などの手を打ってきた日本のやりかたが、かなりの成果を上げているようにも思います。

震源からはやや離れているとはいうものの、観測史上最大という規模の地震にしては東京横浜なども、もちろんそれなりの被害はあったでしょうが、神戸の時などに較べれば全体としてはほぼ無傷といってよく、これは良い方に驚くべき事のように思います。
都市部だけでなく、より震源に近い、津波被害に遭った地域でも、映像を見ている限りでは津波来襲の直前までは、町はほとんど目立った損壊は見あたらなかったように感じます。

尤も、結果的に家や町を失った人から見れば、地震そのものの揺れであれ、津波であれ、もはやどっちであろうと意味のないことですが。

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