リアシート

今日の夕方、ある立体駐車場で待ち合わせをしていて、車の中で待っているときのこと。

左隣の車の人が戻ってきて、見れば50代ぐらいの夫婦のようなのですが、荷物があるようで、壁際でスペースが狭かったこともあってかご主人のほうが奥さんを待たせたまま、車を駐車スペースから通路へと動かしました。
おそらく積み込みがしやすいようにとの判断からだと思われます。

荷物の積み込みが終わったかと思うと、奥さんは後ろの席へひとり乗ってしまいました。
ところがご主人は車に乗らずに後部座席の奥さんとドアを開けたまましきりに問答しています。

こちらはエンジンをかけていなかったので、目の前のことではあり、両者の声が聞こえてきます。
要するに、ご主人のほうが奥さんがぽんと後ろに乗ったことが気に入らないらしく、自分は運転手じゃないぞ!と言っているのです。それに対して奥さんはシートベルトをしたくないから後ろがいいと言っています。

ご主人は、「このまま帰るつもりか?」と言っており、見ると山口ナンバーでしたが、こういう状況は今どきでは意見の分かれるところだろうと思います。物事をあまり気にかけない人なら、狭い車内のどこに乗ろうがいいじゃない…と、寛大なようなことを言う人もいそうな気はします。
場合によっては、たかだかそんなくだらないことにぐちゃぐちゃと文句を言うご主人のほうが了見が狭いと言われかねないことでしょう。

マロニエ君はしかし、このご主人が言うことが尤もだと思いました。
せっかく二人できているのに、前後バラバラに乗っては虚しい気がするのも頷けますし、第一たとえ夫婦でもこれはマナーに反すると思います。ましてやそれで山口まで帰ろうとは、奥さんもいささか横着が過ぎはしないかと感じます。

これは最近は意外に認識していない人も多いのですが、営業車ではない普通の車の場合、フロントシートに運転者ひとりをおいて後部座席に座るのは基本的に横着な態度ですし、仮にそういう意識はなくても無礼だと見なされても文句は言えません。
もちろん病人やお年寄りやチャイルドシートはその限りではありませんが。

たとえば人の車に厚意で乗せてもらうのに、いきなり後ろのドアに手をかける人がいますが、あれはちょっとどうかと思います。もちろんすでに助手席に人がいるのであれば話は別ですが。

場合によっては大変な勘違いをしていて、前に乗るのを遠慮して後ろへ乗るという意識の人がいるかもしれませんが、だとすると甚だしい見当違いで、助手席を空けて後ろに乗るなど、このご主人の言う通り、人を運転手扱いしていることになり、失礼な行為だと思います。
車の場合、決して後ろが末席ではないということをまずは認識すべきです。

ごくたまに複数の人を乗せて順番に送ったりするときなど、たまたま助手席の人が先に降りたら、後部座席の人は気を利かせて前に来るのが乗せてもらう者のマナーというか心得ですが、ケロリとしてそのまま動こうともしない人が結構いるのには驚きます。

今はマンションなど洋風の居住形態が増えましたが、日本人なら、座敷に通された場合、いきなり床の間を背にした上座に座るなどということはしませんが、車もこれと同じ事です。
助手席の空いている車の後部座席は、自動的に上座となることを認識してほしいものです。

上記の場合は他人ではなく、ベテランの夫婦だと思いますが、ご主人が承知してのことならむろん構いませんが、不快感を持たれるようなら、やはり奥さんは助手席に座るのが夫婦であっても礼儀だと思いました。

結果的には奥さんが助手席に乗り換えて車はようよう動き出し、こちらまでホッとしました。
それでなくても山口まで運転するのは大変で、ましてや今日のような雨天なのですから、ちょっとは労りとお付き合いの気持ちも欲しいところです。

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