立ち読み&メール

最近、あるショッピングモール内の大型書店に行ったときのこと。
いまさらという気もしますが、最近の人達の携帯メールへの依存度というか執着の強さには呆れてしまいました。

マロニエ君が見たい本棚の前で、立ち読みしている一人の男性がいましたが、その人がいるので左右どちらからも手が伸ばしにくく躊躇していましたが、彼はまるで周囲の人への気遣いなどは眼中にないといった感じで立ち読みを続けています。
最近はどうかしたことでは、やたらと気を遣ったりルールを守ったりということが盛んなようですが、それは表向きで、こういう場面での他者への配慮というのはまるでないと感じることがよくあります。

人の前の何かを取ろうと手を伸ばしても、1cmでも動こうとはしない若い人などはもはや珍しくもありません。
まあ、ここまでならよくあることです。

さて、マロニエ君もなんとか目指す本を手にすることができたのですが、そのときわかったことには、彼は立ち読みをしながら同時に携帯を開いた本と一緒に右手に持って、せっせとメールのやり取りをしているようです。
まあ、とりあえず人のことなどどうでもいいので、マロニエ君は自分の見たい本を見始めたわけですが、しばらく経ってもとなりの小柄で暗い感じのお兄さんはあいもかわらずメールを打ち続けています。

そんなにメールがしたいのなら、立ち読みはいったん切り上げて、どこか椅子にでも座って落ち着いてやりゃあいいじゃないかと思いますが、メール打ちにもときどき切れ目があって、そのときは本のほうを見ていますから、やはり本も見ているということがわかりました。
ご苦労なことだと思って、こちらも本に集中しようとするのですが、なにしろ真横のことなのでなんとなく気に掛かってします。というか…正直にいうと無性に気に障ってしまうのです。

そしてまた、とめどもないメール打ちが始まり、要はその繰り返しです。
そのメールも「はい」とか「わかった」ぐらいではなく、なにやら延々と文章を打っているようですから、だんだんこっちもイラついてくるのが自分でも嫌になります。
何度か横を向いてまともに見てやりましたが、いやはや、図太いというかなんというか、微動だにしませんね。

とはいうものの、マロニエ君もつい長い時間立ち読みしてしまいましたが、とうとうこの彼がこの場所からいなくなることはなく、正確ではないもののおそらく30分近く経っても、なにひとつ変化は起こりませんでした。
根負けして、こちらのほうがついに退散することになりました。

それにしてもああいう芸当は、器用だと思うと同時に、やはり疲れるだろうなあと思います。
そうまでしてメールにこだわるという理由もわかりません。

そこまで込み入ったことをやりとりするのであれば、いっそ電話でしゃべったほうがどれだけ楽で簡単かとも思いますが、まあそういう問題でもないのでしょうね、きっと。

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