またもお買い上げ

懇意のピアノ店から連絡があり、カワイのグランドが入ってきて調正が済んだので弾きに来てくださいといわれて、ピアノを欲しがっている友人を連れてに見に行ったのですが、そのピアノはRX-2 ITという特別モデルで、イタリアのチレサの響板を使った、いわばヨーロッパの血が混ざったカワイでした。

12年ほど前のピアノですが、まだまだ若々しくてピカピカした状態でした。
アクションは、カワイのグランドが樹脂製のアクションになる直前の、木製による最後の時期という点がさらにポイントでした。
カワイの樹脂製のアクションには賛否両論あって、一時はずいぶん技術者からの苦情も上がったようですが、カワイはそれにも屈せずに樹脂製のアクションを製造し続け、現在はそれが2世代目に発展して黒いカーボン系ものになり、強度を増しやや軽量化なども果たしているようです。
しかし、技術者の中にはこれを従来の木製に戻す試みなどもやっていますので、そこには様々な長短の理由があるのだと思われますし、やはり一長一短があるのだろうとは思います。

しかし、他のメーカーが一向にこのカワイの革新技術に追従しないのは、やはりまだ木製のほうがいいという考え方も根強いことの表れかもしれません。
マロニエ君は正直なところ、本当にいいものなら素材が何だって構いませんが、現段階ではやはり木製のほうがいくらか安心というか、やはりピアノには木製アクションのほうが情緒的にも収まりが良いような気がするのも事実です。
かといって、そこに大したこだわりはありません。

さてそのチレサの響板のRX-2、ここのご主人の高い技術力あってのことですが、なかなか素晴らしいピアノであったのは予想以上でした。若干キーが重いという点はやや気になりましたが、これはカワイのグランドが生来持つ特徴のようで、タッチの俊敏性を損なうことなくこれを解決していくのは技術者泣かせの課題のようです。

しかし、音にはレギュラーモデルにはないやや明るめの基音と、そこから立ち上る響きに立体感があるのが印象的でした。
技術者の整音技術にも大いに負うところがあるものの、音には太さと輪郭、芯と肉付きがあり、好ましいものでした。
さらには通常の響板のモデルよりも音にずんとした深みがあって、これはキーの重ささえ解決したらSKシリーズ寄りのピアノになるような気さえしたほどです。

これがエッと思うような値段だったので、ピアノ好きならだれだって気分はふらっとしてしまいます。
友人はかなりこのピアノにふらついている様子で、これは買うだろうな…と思っていたら、ご店主が先を制して2〜3日考えた方がいいですよと逆に言われ、この日はいったん引き上げることになりました。
そして後日、案の定、買う決断は変わらず、その旨連絡をしたそうです。

短期間の間にEX、RX-3、RX-2 ITと、やたらカワイにご縁がありますが、どれも素晴らしいピアノで、つくづくカワイはいいなあという思いを新たにしています。

それにしても、このところマロニエ君のまわりではピアノを買う人が続いてしまって、自分もつい買いたい虫が疼いてくるようです。
あー、ピアノが買いたい!

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