ネットオークション

苦手なものがたくさんあるマロニエ君ですが、ネットオークションもそのひとつです。

ライバル不在ですんなり落札できるときはいいのですが、少しでも人と競り合う状況になるともうダメです。
特になんとしても手に入れたいものであればあるほど、不必要に気分が高ぶってしまいます。

ネットオークションでまったく油断ができないのは、終了までの数日間、だれも入札しないのでこのまますんなりいけるだろう…なんて思っていると、敵は最後の最後に闇の彼方から音もなく現れます。
マロニエ君は過去に何度このパターンに陥って、消耗戦を繰り広げたかわかりません。

何度か抜きつ抜かれつしたあげく、ようやく戦い済んであと1分で終わりというときに、またしても落札価格が更新されるときほど腹立たしく際限なき戦いを挑まれるみたいで気分の悪いものはありません。
こちらも意地になって、平常時なら考えられないような高値を入力してしまうハメになったことも何度かありますし、それでもえらくスタミナのある見えない強者にしたたかに持って行かれたことも何度もあります。

「それがネットオークションだ」といわれれば確かにそうなんですが、これがマロニエ君にとっては笑って済まされないような嫌な興奮と動悸が打つような疲労のごちゃまぜになるのがよくわかりました。
多くの場合、オークションの終了時刻は夜間に設定されているものですが、気合いの入ったアイテムの場合は、なんとなく朝から(いや前日から?)そのことに意識が行っています。
真剣なときは、バカバカしいようですが夕食さえゆっくり落ち着いて食べられません。

時間が近づくと家族には内緒で、はやる気持ちを抑えながらパソコンの前に居住まいを正します。
分単位の時間経過が、このときほど気を揉んで、いたたまれないものはありません。
その挙げ句に、さんざんやられて敗退すると、精神的にも激しい疲労に襲われて、一日の終わりが甚だおもしろくない、不愉快な幕切れとなってしまって、もう無性に情けない気分になるのが自分でもつくづく馬鹿げた事だと思うようになりました。そして、自分が性格的にこういうものに合わないことを痛感しました。

この結果、マロニエ君は金輪際、ネットオークションでの入札バトルには参加しないことに決めたのです。
さらにネットオークションそのものにも距離を置くことにしました。
ネットごときであんな切迫した不快な思いをするのはもうこりごりだからです。

その後は、欲しい物が見つかったときには、自分で冷静に価格の上限を判断して少し早めに入札し、終了時間近くは絶対にパソコンを開かないことにしたのです。
それで落札できていればよし、できなかったらさっぱりあきらめるという、いわばマイルールです。

さて、久々にこのネットオークションに入札しました。
狙っているのは絶版の書籍です。この数日だれひとり入札していませんでしたし、珍しく日中の終了時間となっています。
これはいけるだろうと根拠のない確信をしていましたが、夕方パソコンを開くと、なんと、終了1〜2分前に狙い撃ちされてもっていかれていました。

なんだか、無性にイヤなもんだとまたしても思ってしまいました。

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