ピアノの島

何気なく整理をしていたら、音楽雑誌『ショパン』の1月号がひょろりと出てきました。
いつもは立ち読みが多いのですが、ショパンコンクールの入賞者以外の演奏を集めたCDが付録として付いているので、それ目的で買っていたことを思い出しました。

表紙はジュネーブコンクールで日本人初の優勝を果たした萩原麻未さんで、巻頭にはインタビューが載っているものの、CDを聞いただけであまり熱心にページを繰ることはしていませんでした。

ひさびさに手にしたついでにパラパラめくっていると、「第5回中国国際ピアノコンクール」というのがあり、中国でもこんなコンクールをやっているのか…という感じで、その記事を読んでみました。

開催地は中国南部の沿海都市、福建省のアモイ市で、12日間にわたって開催され、ファイナルではモーツァルトの協奏曲およびそれ以外の協奏曲の2曲を中国国家交響楽団と共に弾かなくてはいけないというもので、16カ国52名が参加するそこそこ本格的なコンクールということのようです。

このコンクールは第3回までは首都北京で開催されていたようですが、第4回以降はこの福建省アモイ市に場所が移されたとのこと。
その理由は、アモイ市が、中国近代史の幕開けとなったアヘン戦争後の南京条約によって開港し、西欧諸国の領事館や商館、教会などが多く建てられ、キリスト教の布教とともに中国でも最も早くピアノやオルガンなど西洋音楽が普及した土地でもあることから、このコンクールの開催地として最も相応しいと判断されたようです。
またアモイ市は経済特区としてもめざましい発展を遂げているだけでなく、年間を通じて温暖な気候であることから異国情緒あふれるリゾート地でもあり、別荘地としても栄えてきた土地のようです。

さて、そんなアモイ市でまさか!という感じで驚いたのが、ここの南西部にコロンス島という小島があって、そこは別名「ピアノの島」とも呼ばれいるらしいのです。なんでも、個人(この島出身の華僑)のコレクションによる「ピアノ博物館」なるものが存在し、世界的にも珍しい歴史的ピアノが実に82台!も収蔵されているというのですから、びっくりでした。

そんな折、書店に行ったついでに旅行のガイド本を見てみると、運良くアモイ市の本があり、そこにもこのコロンス島のことが紹介されていました。アモイ市とは目と鼻の先の距離で、フェリーで渡る小さな島のようですが、掲載されている写真を見る限りでは、洋館風の建物が多くてあまり中国っぽくない印象でした。

「ピアノ博物館」のことも小さく触れられていましたが、そこには40数台というような記述でしたが、建物じたいもピアノのカタチをしているところなどがちょっと中国的センスですが、なかなか珍しいピアノがありそうな雰囲気でした。
この島はピアノの普及率も中国一とのことで、人口2万人、1時間も歩けば一周できるという小さな島に、一時は1000台ものピアノがあったというのですから驚きです。さらにはピアノ音楽学校まであり、いまでも対岸のアモイ市からフェリー通学している学生もいるようです。

あまり詳しい情報は得られませんでしたが、この島に「ピアノ博物館」があることだけは間違いないようです。

世の中にはまだまだ予想もしないことがあるものだと思いました。
いつか行ってみたいものです。
コンクールを聴いて、コロンス島にも足を伸ばすというのもいいかもしれませんね。

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