人気の曲

過日、ピアノクラブの人に、かねてから疑問に思っていたある質問をしてみました。
(これまで「サークル」と書いてきましたが、よく考えてみると「クラブ」だったので、今後は改めます。)
それはクラブの皆さんが定例会で弾かれる曲目にある傾向があると思っていたからです。
全員ではありませんが、多くの人が同じような曲に集中するのはなぜ?と感じていました。

例えばショパンを例にとると、幻想即興曲、革命、別れの曲、ワルツの数曲、いくつかのノクターンなどは、入れ替わり立ち替わりに皆さんが弾かれる定番曲になっているのがちょっと不思議なわけです。
ベートーヴェンでも悲愴とかテンペストの第3楽章などは何度聞いたかわかりません。
…かと思うと、両隣にある曲は一向に弾かれる気配もありません。
第7番も第9番もマロニエ君はとても好きですが。

せっかく大評判の料理店に行っているのに、みんながみんな、エビチリか、酢豚か、麻婆豆腐ばかり注文するような感じでしょうか。

もちろん根底には、これらがよく耳に馴染んだポピュラーな曲ということはあるとは思いますが、どうもそればかりが理由のようには思えない不思議さもあって、そのわけを聞かずにはいられなくなりました。

これらの有名曲ももちろん素晴らしい作品に違いありませんが、マロニエ君などはいつもそのあたりから外れた、本当に自分が好きな曲を弾いてきたように思いますし、同様の方もわずかにはいらっしゃいます。

もちろん選曲に際しては技術的な問題も大きく、シロウト集団の我々としてはなんでもOKというわけには行きませんから、難易度の点でも自分の技術と大いに相談しながら決めることにはなりますが…。
しかし、ショパンのエチュードのような難しい曲を弾くにしても、全27曲のエチュードの中で革命などは突出して人気が集中しており、「次は自分も(革命に)挑戦したい!」というような発言さえ何度も耳にしています。

革命ももちろんいいけれども、なんでそればかり??…その理由がまったくわかりませんでした。

また不思議なのはマズルカやプレリュードなどはほとんど見向きもされず、これまでにそれらを弾いたことのある人はマロニエ君以外ではわずかに一人か二人を記憶するのみです。
即興曲では4曲中の最高傑作とも言うべき第3番は誰ひとり弾かず、人気の点で革命さえも上回るのは第4番(幻想即興曲:ショパンは自分では気に入らず即興曲の中には入れていなかった。第4番とされて出版されたのは死後だが、作曲は4曲中もっとも早い。「幻想即興曲」の名は第三者によって付けられたもの。)で、こぞって弾かれるところはこの曲の大変な人気の高さが窺えます。

しかし、ピアノのレパートリーは無尽蔵といっても差し支えなく、あれだけたくさんの眩しいばかりの傑作が並んでいる中で、こうも同じものに集中するのは、どう考えても不自然・不可解だったわけです。
そこでその点を聞いてみると、ようやくにしてその理由がわかりました。

まずは楽譜の問題が大きいようで、楽譜を手に入れるときに1曲だけのピース楽譜を手に入れてしまうこと。あるいは手持ちのピアノ名曲集の類にこれらの曲がたまたま載っていたからで、他の曲は聴いたことがない…というようなたわいもないものでした。

マロニエ君にはちょっと考えられないことですが、へええ…そんなものかと思いました。

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