続・人気の曲

とりあえず、選曲の傾向の理由は少しわかりましたが、どうせ弾くのであればもっと幅広い視点から選曲してみるのも楽しいように思います。

そのためにも、やはり楽譜はきちんとしたものを持っておいたほうがいいもので、ピアノが好きで、しかも自分で弾くぐらいになれば、たとえ趣味であっても楽譜はそれが全曲まとめられたものを、ひとつは必ず持っておくべきですし、決してムダにはならないとマロニエ君は思います。
これにより、いうまでもなくその前後に存在する優れた作品を網羅的に知るところとなり、本当に自分が弾きたい曲を探し出すチャンスにもなるし、とりあえず弾いてみるだけでもとても勉強になるからです。

例えばピアノ名曲集的な観点から弾く革命と、ショパンの全27曲のエチュード全体を深く耳に馴染ませた上で弾く革命とでは、必ずなにかが違うものですし、そのほうがさらに素晴らしいものになることは異論を待たないでしょう。

もちろんクラブの中には特定の作曲家に集中して打ち込んでおられる方もあり、バッハばかりを弾く人、シューマンを得意とする人など、自分なりのこだわりや好みの個性があることはなによりも素晴らしいことで、最近入会された方では、専らメンデルスゾーンばかりを弾かれる方がおられて唸らされました。
マロニエ君もつい刺激を受けて、ちょっと自分からはあまり弾かなかったような曲を弾いてみたりしているところです。

そういう意味では、人が弾くのを聴いて自分も同じ曲を弾いてみたくなるという心理もとてもよくわかります。
コンサートなどでも感銘を受ける演奏に出会ったとき、あるいは逆に大いに憤慨するような演奏を聴いたとき、いずれの場合も猛烈に自分で弾いてみたくなるものです(もちろん弾ける曲に限ってですが)。

また、良く知っているものでも、自分から進んで弾こうとは思わなかったような曲を、人の演奏を聴くことで、なんとなく自分でも弾いてみようかと思うきっかけになることはマロニエ君にも幾度か覚えがあります。
こういうときにも楽譜を持っているというのは強味です。

近ごろは楽譜も決して安いものではありませんが、一度買えば半永久的に使えるものですから、その長い付き合いを考えれば決して高いものではありません。
マロニエ君は好きな曲があれば、自分が弾けない曲でも楽譜を買うことにはあまり躊躇もありません。
それは音楽が好きな自分にとって、楽譜を持つ事はひとつの「財産」だと思っているのです。

ただし、最近はCD−R等でひとりの作曲家の楽譜を網羅的に入れたものや、ネットでの無料ダウンロードなどというものもありますが、ああいうもので済ませるのはまったくもって賛成しかねます。
CD−Rの楽譜は一度買ったことがありますが、まあ割安感で言えばこれに勝るものはありませんし、場所を取らないといえばそうかもしれません。しかし、なんとも無味乾燥で、まったくマロニエ君の好むものではありませんでした。

そもそも音楽を楽しむ、ピアノを弾くという価値は、そんな味気のない合理性とは真逆の場所にあるものだと思いますから、やはり楽譜は紙の本であって、表紙があり厚みがあり、手で触って、ページを繰るものだと思います。

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