ダンプチェイサー2

技術者をして「ピアノを湿度から守る一大発明」といわしめるダンプチェイサーですが、先日、ある工房で実物の取付例を見てきました。

アップライトは以前書いたように下部のパネルを開けた位置に取り付けますが、グランドは支柱の下(犬でいうと前後の足の間のお腹の部分で、前足寄りのところ)に鍵盤と平行方向に取り付けるのが基本のようですが、この工房ではまたちょっと違った工夫がされていました。

ここにあるグランドはセミコンサイズなので奥行きがあり、響板が奥に長いため、出来るだけ全体に効果があるようにとダンプチェイサーは右前(高音側)から左奥(低音側)に伸びるよう、斜めに角度を付けて取り付けられていました。
さらにこの工房での工夫としては、本来よりもダンプチェイサー本体の位置を下に離して取り付けてあり、見たところでは支柱から約10センチぐらい下に平行にぶら下がるように設置されていました。

こうすることで、ダンプチェイサーの効果が少しでも響板全体に広がるようにとの配慮だそうです。

ダンプチェイサーの本体は、一見するとなんの変哲もないただの金属の棒で、長さは1メートル20〜50センチ、太さは人の指ぐらいしかない至ってシンプルな構造です。
片方から電源コードが伸びておりそれをコンセントに繋いでいるだけで、別に制御用のセンサーがあり、これが湿度を感知して自動的にスイッチが入ったり切れたりするというもののようです。

スイッチを入れて30分もした頃、ダンプチェイサーを恐る恐る触ってみると、心配するようなアッチッチというようなものじゃなく、ほんのりやわらかく暖まっているだけで、なるほどこれならばピアノへの悪影響はないだろうと推察できました。

ちなみにダンプチェイサーはアメリカ製で湿度が47%で制御されるのに対して、同様のシステムで日本製の商品にはドライエルというのがあるようです。こちらは設定が65%で、いずれも数値は固定で任意の設定はできないらしいので、どちらにするかは判断のしどころでしょう。

ネットに出ている装着図によると、グランドの場合は前後に2台取り付けるのが正式な装着方法のようですが、実際のところはどうなんでしょう。単純に1台より2台のほうが余裕があっていいだろうとは思いますが。
ちなみにグランド用は、後ろ側用として短めのものがあり、二つで1セットのようです。
短いほうは後ろ足の前ぐらいにとりつけるようですが、そこまでしないで前の一本で済ませる人も多いとか。

消費電力は長いほうが25Wで、ひと月フル稼働したとしても電気代は270円で、現実的には200円程度だそうですから、これは除湿器を回しっぱなしにするよりはるかに経済的でもあるようです。
ちなみに後ろ用は本体が短いためか15Wで、前後合わせて40Wとなりますが、それでも実質的な電気代は300円/月ほどだろうと想像されます。
ちなみに一般的な除湿器をフル稼働させていると、電気代は3000〜5000円かかるというのですから、ワンシーズンで軽々元を取るようです。

取り付けも技術者に頼まないといけないものかと思っていましたが、見たところでは、自分でもじゅうぶんできそうな感じでした。
ネットではすでに「品切れ」となっているところもあるので、やはりこの時期は売れているんだなあと、つい焦ってしまいます。

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