まくら

マロニエ君にとって、どうしてもしっくりくるモノと巡り会えないものがあるのですが、それは枕です。

これまでに一体どれだけの数の枕を買ってみてはダメで、そのつど返品したり、そのままクッション代わりにしたりしたことか。いまでも物置には使わなかった新品の枕がいくつか転がっています。

現在使っているのは、とくにどうということもない物で、いつどこで買ったのかさえ思い出せないようなものですが、これが不思議に一番落ち着いていいのです。
しかし、なにぶんにも使用期間が長いので、そろそろ新しくしたいと思い始めて早、何年経つことやら。

つい先日もあるお店で、良さそうな枕があって、だいぶ時間をかけて眺めてはくどくどと触ってみたのですが、馬鹿みたいな話ですが、マロニエ君は枕を買うことが一種の恐怖症になってしまっていて、とうとう決断がつかずにこの時は買わずに帰りました。
しかし、やっぱりその枕のことが気になり、後日やはり買いに行きました。

そして、また同じことが始まりました。
家に持ち帰って、ビニールのケースに入ったまま、とりあえずベッドに置いてみるまでがドキドキです。

とりあえず横になった感じでは良さそうな気がしますが、結果はすぐには出ないのです。
5分、10分と時間が経つにしたがって、じりじりと真実が浮かび上がってきます。

その結果、少し固すぎることと、枕そのものが大きすぎることで、これもまたしっくりこないことがわかりました。
なぜかわかりませんが、売り場で手に取ってみるだけでは、これだけのこともわからないのです。
中は開けていませんので、やはりまた返品することに決定です。

こうなることは充分に予期しているので、レシートなどもむろんバッチリ取ってあるので、この点は問題なく返品できました。

マロニエ君にとって枕で大事なことのひとつは、高さと固さだと思います。
羽根枕のような腰のない柔らかさはダメで、だからといってそば枕のあの重くてジャリジャリした感じもイヤ。
もっとダメなのは最近流行の低反発素材を使ったもので、あのねちゃっとした頭や顔にまとわりつく感触はゾッとします。しかも熱がこもって暑いこと。

さらにここ数年出てきた、小さなパイプの破片のようなものを詰め込んだ枕も、その破片の感触が伝わって気に障って仕方ありません。

最近はオーダー枕とか専門店みたいなところがあるので、そこに行ってみようかとは前々から思っているのですが、なんだかそれもイマイチ信用できない気がすして行く勇気がありません。
中にはずいぶん高額なものもあるので、そのあたりになると物が違うのかもしれませんが、たかが枕(もはや「たかが」とは言えないのですが)に何万円も出すのもちょっと踏ん切りがつきません。

できたら1万円前後ぐらいでしっくりくるものが見つかればいいと思うこと自体が虫がいいのかと思ってしまいます…。
理想の枕を求める長い旅路は、まだまだ続きそうです。

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