蜘蛛の卵

今年の梅雨は例年にない厳さで、日ごとに残り少ないエネルギーをさらに奪い取られるようです。

とにかく連日の蒸し風呂状態で、室内を快適にするには、間断なくエアコンの力を求めなくてはいけないようです。
序盤からこんな厳しい季節となり、節電なんぞと言っていますが、現実にどうなるのかと思うばかりです。

とくに高齢者の熱中症などは最も懸念される事らしく、予定通りの節電が実行されるとなると、ほぼ確実に従来とはケタの違う死者などが出るという見通しだそうで、すでに一部の有識者などは、これはれっきとした「未必の故意」であり、人災であると言っていますが、尤もな話です。
とにかく大変なことになってきましたが、日本は「流れ」ができるとどうにも恐い国です。

さて、愛するピアノの健康のために敢行した、ダンプチェイサーの取り付け及びその他の要因から喉を痛めてしまい、いまだに完全回復に至ってはいないマロニエ君ですが、またぞろヘンテコな被害に遭いました。

この時期から夏場にかけて、蜘蛛の繁殖の季節となるようで、家の軒下などには場所によっては不気味な卵を産み付けられてしまいます。これがいったんコンクリートなどの地肌にこびりつくと、生半可なことでは除去できません。

我が家でも玄関を出てすぐの軒下など、ちょうど上を見上げたあたりにこれがポツポツこびりついているので、通るたびに早くなんとかしなくてはと思いつつ、この暑くてベタベタする最中にそんなことはしたくもなく、先送りしていたのですが、いつかはやらなくてはいけないことなので、過日ついに思い切ってこれの除去作業に着手しました。

ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、この蜘蛛の卵というのはまるで接着剤でがっちりくっつけたように、見た目以上にしっかり固着しており、ほうきの先で払ったぐらいではビクともしません。

もちろん殺虫剤などどんなにふりかけたところで、仮に中は死んだにしても、表面は頑として残ります。
これを完全に除去するにはこそぎ落とすしかないのですが、気持ち悪くてタワシなども使う気になれず、とうとう考えたのが物差しぐらいの長さの木の棒を使ってゴリゴリやるというものでした。

幸い適当なものがあったので、これでなんとか作業をしたのですが、奮闘の末にやっと終わって家の中に入って間もなくのこと、両腕がチクチクと刺激的な痛みを感じました。
とっさに、蜘蛛の卵からパラパラと粉みたいなものが落ちてくるのが肌に触れたことを思い出し、あわてて両腕を石鹸で洗いましたが、もう間に合いませんでした。

痛いような痒いような、極めて不愉快な無数の刺激が両腕を襲い、仕方がないので気休めに虫さされ用の液体ムヒを塗りまくりましたが、これも効き目がなく、ついにはそのまま様子をみることにしました。
刺激は数時間で治まりましたが、しばらくすると皮膚に赤い斑点が出てきて、蜘蛛の卵から飛び散った何かがこれを発症させたのは疑いもなく明らかでした。

この赤い斑点、夜にはより色鮮やかになり、手当たり次第にそのへんにある薬を塗りますが、なんの効果もありませんでした。
相応の痒みもありますが、これはもはや時間が解決するほかはないと観念しました。
ところがこれ、かなりの強者で、赤味が退きはじめるのに丸3日かかり、尚現在もまだきれいに消えてはいません。
家人に言わせると、そんな事をするのに、長袖や手袋などの防御もしなかったマロニエ君の短慮こそ反省すべきだそうで、つまり当然の報いで自業自得だということですが、まあその通りでしょう。

一種の毒素なのか何なのか…これだから不気味な虫など大嫌いです。

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