グルーポンとやらをときどき利用している友人がいます。
いつごろのことだったか忘れましたが、その友人からチケットぴあのギフトカードが半額であるという話があり、1万円分が5千円で買えるというので、とりあえず買ってもらいました。
これという目当てのコンサートがあったわけではないものの、そのうち使うだろうぐらいに軽く考えていました。
ところが、そのギフトカードが届いてからというもの、行ってみたいと思うコンサートがなかなかありません。
マロニエ君にとって、気の進まないコンサートのチケットを買って行くなど、考えられないことです。
やはり長引く不況に東日本の震災がダメ押しとなって、目に見えてコンサートの数が減ったのは間違いありません。
とくに小ホールで行われるピアノリサイタルのようなコンサートが激減しているようです。
一方で、ドカンと大きな来日演奏家のコンサート、とりわけオーケストラ関係はいくらなんでもという価格の高騰に呆れてしまいます。
秋にキーシンがシドニー響とショパンの1番を弾くのですが、GS券はなんと2万円!二人で行けば4万円ですから、そこまで出して行く気にはなれずに断念しました。
もちろん席によってはもっと安くはなりますが、マロニエ君はコンサートに行く以上はある程度の席でないとイヤなのです。演奏者が豆粒のようにしか見えない席で、輪郭のないブワブワした音を聴くだけなら、そこにあまり個人的には価値を見出せないからです。
よく、安い席のほうから売り切れていくことがありますが、あれは実のある倹約とは思えません。
シドニー響に限らず、海外のオーケストラのコンサートなどはもはや以前のように気軽に行けるものではない価格となり、逆にコンサート離れが起きるのではないかと思います。
これがもっと有名な指揮者とか格上の楽団になると、さらにチケット代は上昇し、一度来れば日本各地を巡演するのですから、本来の素晴らしい音楽を聴けるというよりは、なんだか荒稼ぎに来たという印象しかありません。
よほどのお金持ちならともかく、ちょっと一回のコンサートを聴くのに、家族などと行くとなると何万円もの出費となると、いかに音楽が好きでも、よほどのものでないと躊躇してしまうのが普通の感覚ではと思います。
しかもそれらは、昔のように歴史的演奏会に立ち会えるかもというような期待感はなく、だいたいどんな演奏会になるのか今どきは結果が見えてしまうところが、いよいよ憎たらしくて気分が高ぶりません。
とりあえず立派な演奏だけれども、ビジネスの臭いがしていて、山場も感動もちゃんと計算され準備されているような、それでいて気持ちのこもらない仕組まれたシナリオ通りみたいな演奏。
そう思うと「やーめた」という気になってしまうのです。
それはともかく、上記のギフトカードは使用期限が9月いっぱいですから、だんだん猶予もなくなって来た気がして、先日など地元のオーケストラの定期演奏会に行こうかと思い、ほとんど妥協的にチケットを買う気になっていましたが、やはりどうしても指揮者が気に入らずまたしても断念。
まだ使用期限まで2ヶ月近くあるので、そのうち秋のコンサートが少しは出てくるだろうという期待を込めて、静観することにしました。
安く買えたのは結構なことでしたが、かえって変な悩みの種を抱え込んだ形になりました。