なんちゃってスタインウェイ

知らぬ間にポスティングされているフリーペーパーの中には、60ページに及ぶオールカラーのそれこそ写真週刊誌ぐらいの立派なものもありますが、今回は下記のような内容のため、あえてその冊子の名前は書くことは遠慮します。
内容は大半が食事の店の紹介などで、後半にはエステなどの広告に至るという、わりによくあるタイプです。

新聞を見た後、朝ポストに入っていた9月号とやらをぱらぱらやっていると、この冊子のプロデューサーという人物が、あるレストランを訪問して、そこの若いオーナーと誌面で対談をやっていました。
その内容はここでは関係ないのですが、そこに掲載されている大きな写真がマロニエ君の目を惹きつけました。

このレストランは食べ放題形式で、音楽のライブ演奏をやっているらしく、対談する二人は店内に置かれたグランドピアノの前で、プロデューサーは手振りを交えてさも何かを語っているところ、迎えるオーナーはスッと左手をピアノに添えて、両者かっこよく立ち話をしている感じの写真が大きく載っていました。

ピアノは大屋根を閉じた状態で、斜め後ろからの角度でしたが、普通の小型グランドにもかかわらず、サイドに金色の文字とマークがあり、そこには明らかに「STEINWAY & SONS」の文字とその中央上に例の琴のマークがあるのです。
はじめはへええと思ってみていたのですが、んー?という違和感を覚えるのに大した時間はかかりませんでした。

マロニエ君はごく有名どころのピアノであれば、マークを見なくてもディテールの特徴などから、だいたいどこのメーカーかはわかります。
その上でいうと、この写真に写ってるピアノはどうみてもヤマハだと思いました。
それで写真を凝視すると、果たして4つの点でヤマハである根拠が見つかりました。それはとりもなおさずスタインウェイではないという証明にもなるわけです。

対談にはピアノのことは触れられていませんでしたが、このレストランのホームページを見てみると、やはり後方から大屋根を開けた状態の写真があり、そこでさらに3つの点でスタインウェイにはない特徴を見出しました。
合計7つの根拠をもって、このピアノがスタインウェイでないことは明白なのですが、なぜそんな偽装表示みたいなことをしているのか…単なるブランドのパクリでしょうか。

ピアノのロゴマークは真鍮のパーツきちんと入れるなら塗装屋など専門家に依頼しないと、とても素人が出来ることではありません。あるいはもし、これがレーザーカッターなどで作られたデカール(ステッカーのたぐい)だとすれば、鍵盤蓋にあるロゴマークはどうなっているのかと思います。
正面には「YAMAHA」、サイドには「STEINWAY & SONS」というのもちょっとねぇ、考えにくいです。

もし両側に真鍮のロゴパーツを埋め込んでいるのなら、これはもうかなり本格的な作業です。
お店では毎週木曜から日曜までディナータイムにジャズや映画音楽の生演奏をやっている由ですが、演奏する人達はこういうピアノを前にしてどんな気分なのかと思います。

できれば実物を見てみたい気もするので、近くだったら見物がてら食事に行ってもいいのですが、あいにくと北九州方面なので、そうまでしてわざわざ行く気にもなりませんが、こんなピアノ1台があるというだけで、なにやらお店の印象まで変わってくるようです。

このなんちゃってスタインウェイ、だれか北九州方面の人にでも頼んで、偵察してきてほしいところです。
くだらないけれども、そうざらにはないピアノだとは思います。

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