中国高速鉄道

中国の高速鉄道の事故は記憶に新しいところですが、中国ほど何事においても「世界一」の称号を好む国柄はないのだそうです。

この中国版新幹線も、共産党立党90周年に合わせて、過去に類を見ないような猛烈な突貫工事によって、遮二無二開業が急がれたことは今や広く知られるところですが、つい最近も車輌から煙が出て緊急停止だの、中国開発の車輌は故障が相次ぐためにすべてが回収されるなど、ここ当分は問題は尽きないようです。
しかし、高速鉄道に関しては報道規制がかかっているらしいので、ニュースとしては聞こえてこないかもしれませんが。

たまたま書店で立ち読みをしていると、ある月刊誌の新号に、日本人ジャーナリストで中国の高速鉄道全線に乗車した!という強者がいて、いろいろとおもしろいことを書いていました。
中国版新幹線の特徴としては、あの広い大陸故に、日本と違うのはいわゆるカーブがほとんどなく、大半が直線を超高速でひた走るのだそうです。区間によっては時速300キロを超える瞬間もあるとかで、東京ー熊本よりも長い北京ー上海間を実に4時間台で切る速さで駆け抜けるのだとか。

安全面はさておいても、乗り心地は大変快適で上々であることが書かれていましたが、これはマロニエ君も高速鉄道ではありませんが、中国で鉄道を利用した際になんとなく感じた点でした。鉄道にはさっぱり疎いマロニエ君ですが、ずいぶん大きな車輌のように感じていたところ、後日この点に詳しい友人の話によると、中国の鉄道は軌道の幅自体が日本のものより広いのだそうで、自然車輌のサイズもより大型であるという話でした。
道理で、なにやら悠然としたその乗り心地はともかく快適で、動きもどこか鷹揚な感じを受ける気持ちの良いものだったことは印象に残っています。

さて、技術的・専門的なことはさておいても、利用者から見ると甚だ奇異に映る点があるのだそうで、あまりに計画・開業を急ぎすぎたためか、大半の駅が新駅となり、それがまた悉くひどく不便なところにあるのだそうです。
そしてそのアクセスに関する情報がほとんどないため、わかりにくいバスを乗り継いだり、街中から1時間もタクシーをすっ飛ばしてようやく駅へ辿り着くといったことが珍しくないといいます。
さらには切符を買うための職員がひどくつっけんどんで不親切であったり、セキュリティーの通過だけに20分を要したりと、総合的な利便性と迅速性という観点でも、まだまだすいぶんと問題が残されているようです。

それでいて、座席の等級によっては飛行機よりも高額で、およそ中国の一般人が気軽に利用するための交通手段からはほど遠い一握りの富裕層のものでしかないというのは、あいもかわらず変な話です。

とりわけあの事故いらい、最大の利用が想定されていた北京ー上海間は、実際には2ー3割しか乗客が乗っておらず、ずいぶん計画も狂ってしまっているのだとか。

中国はいまだに賄賂社会であることはつとに有名ですが、今年逮捕された鉄道省のトップには、なんと18人!もの愛人がいたり、その部下達もアメリカに豪邸を買い漁るなど、想像を絶する額の裏金が動いているとのことでした。
オリンピックや万博然りで、中国では大事業をやるには、実際にかかるコスト顔負けの賄賂が必要だそうで、これではなかなか確かな安全システムなどは構築できない気がします。

上海では空港からリニアモーターカーが走っていますが、これもなるほど中国の好きな地上を走る「世界一」の速さですけれども、その駅は街の中心部からずいぶん距離のあるところで、実際に不便に感じたことを思い出しました。
これに乗れば、そこから30キロほどの空港までわずか7分余で到着しますが、その駅へ行くには、重いスーツケースを引きずりながら混雑まみれの地下鉄に乗るか、タクシーではやはり1時間近くを要しますし、タクシーの運ちゃんもろく場所を知らなかったりします。

そのリニアモーターカーも今また乗るか?ときかれたら…やっぱりこわいですね。

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