過日、久しぶりに友人の夫婦と会って夕食やお茶などしましたが、おかしな話を聞きました。
外が暗くなったころ、我が家に迎えに来てくれたのですが、当初の予定よりもずいぶん遅れてしまい、それは別にかまわないのですがそれなりの理由があったようです。
その日の午後は二人で博多駅へお出かけだったそうで、奥さんのほうは駅内のある教室に通っているらしく、その間は別行動を取ったのだとか。なんでも奥さんの行く教室では、ちょうどその日で一区切りついて、以降はあらたに契約をするという状況を迎えたそうでした。
そのためには一定の手続きが必要となるのだそうですが、教室の営業のおねえさんとしてはぜひともその日のうちに契約を完了したかったようで、それを強く勧めてくるそうです。
奥さんとしてはダンナさんと駅内で待ち合わせをしているので、時間的な面で躊躇していると、そのおねえさん曰く、手続きは「10分で終わりますので!」と熱心に言ってくるそうで、じゃあ…ということになったそうです。
ところが、10分と思って手続きを開始すると、これがなかなか終わらない。
今どき故か、その更新手続きはiPadもしくはiPad的なもので行うらしいのですが、この操作に思いのほかてこずってしまったのだとか。
その間にもダンナさんとは電話でやり取りを交わして、どこだか場所は知りませんがお待たせ時間をズルズル延長していたようです。
そうこうするうちに時間ばかりが経過して、倍の20分となり、電話の向こうのダンナは、人を待らせているんだから早くするように相手に伝えるよう促し、奥さんもそれに従ったようですが、それでも手続きはようとして進まず、とうとう約束の3倍である30分をもオーバーしてしまったそうなのです。
それでついにマロニエ君の友人であるダンナは、頭に来て自らその教室に乗り込んできたらしいのです。
そして更新手続きをする女性に抗議したということでしたが、奥さんによるとそれが周囲でちょっと目立っていたというのです。はじめはマロニエ君も奥さんに同情していましたが、話の全容が見えてくるうちに、そりゃあ仕方ないなぁと思うようになりました。
マロニエ君の想像も入りますが、今どきの営業サイドにすれば「また今度」なんて悠長なことをいってると、相手はその気がなくなってしまうか、別の教室に通うようになるか、要はお客を取り逃がす可能性があるわけで、そんなものはアテにならないというわけでしょう。
要はお客さんの気が変わらないうちに、いま、その場で、間髪入れず更新手続きをさせるよう、日頃から教育されているのだろうと思われます。そのためには無理だとわかっていても「10分で終わります!」と言って、とにかく手続きに着手させることが肝心だと考えたのではないでしょうか?
結局、その時間的しわ寄せがその後の別の場所での予定にも響いてしまい、おまけに夕方の渋滞なども重なって、我が家に到達したときには予定より1時間を遙かに超えるほど遅くなっていました。
ずいぶんお疲れの様子でしたが、食後の話によると、奥さんは状況は自分もわかるけど、いささかダンナが怒り過ぎのようなことを言い始めたのです。するとダンナはサッと顔色が変わり、とても承服できないといった表情というか様子になりました。
それでも彼はいったんは話を止めようとしましたが、それに素直に従うようなヤワなマロニエ君ではありません。
なにがなんでも泥を吐けとばかりに猛然と追求しまくった結果、ダンナがしぶしぶ言い始めたことによると、逆に奥さんを待たせたときの奥さんの怒りようときたら、とうてい自分なんぞ足元にも及ばない激しいものだそうで、しかも自分は今日は、奥さんに文句を言ったのではなく、あくまで10分で終わると無責任な発言をした営業の女性に言ったのだということで、これはなるほど尤もなことだと大いに納得し、大いに笑いました。
話は両方から最後まで聞いてみるもんです。