電子ピアノのタッチ

ピアノクラブの方から電子ピアノのオススメはないかと尋ねられました。
この方はマンションのご自宅にグランドをお持ちなのですが、練習用に電子ピアノの購入を決心されたようです。

ご当人が試弾してみて、このあたりかなあと思ったのが「カワイ CA13(15万くらい)、同CA63(20万くらい)、ヤマハ CLP440(18万くらい)」だそうで、「指を動かすくらいに練習したいので、あんまり高いのは考えてない」とのことなので、ほぼ下記のような意味の返信をしました。

まず、基本的にマロニエ君は電子ピアノのことはぜんぜんわからないということ。
以前聞いた話では、このジャンルでは断然ローランドなんだそうで、へぇそんなもんかと思うだけです。

ただ、もしも自分が買うとなると、もっぱら情緒的な理由だと思いますが、電子ピアノを楽器に準ずるものと捉えれば、やはり楽器メーカーの製品を買いたくなってしまいます。

電子ピアノで最も大事な点はなにかと考えた場合、電気製品としての機能は横に置くとして、あくまで個人的な印象ではタッチの優劣にこそあると思います。
これが安物になればなるほどプカプカとした安っぽい単純バネの感触に落ちぶれてしまい、高級品ほどタッチのしっとり感や深み、コントロールの幅などがあるようです。
音はどうせ多くはスタインウェイからのサンプリングで、ヤマハ/カワイは自社のコンサートグランドから採っていますが、所詮は電子の音なのでこの点はどうでもいいと言っちゃ語弊がありますが、それよりは物理的なタッチ感がいかに本物のピアノに少しでも近づけているかという点に興味の的を絞ると思います。

その点で言うと、本物のグランドピアノのアクションをほぼ使っているヤマハのグランタッチなどは電子ピアノのいわば究極の姿で、現在はアヴァングランドに受け継がれているようですが、お値段も立派。
グランタッチは以前は中古でもかなり高価で、それでもタマ数のほうが不足しているくらいでしたが、最近は世代が進んだせいか、中古価格も一気に安くなり、どうかするとネットオークションなどで10万円台のものもチラホラ見かけます。もっとも何年も使用された中古の電気製品という意味では、故障の心配もないではないでしょうが。

また、安めの現行品の中から探すなら、私の最近の微々たる経験で言うとカワイの電子ピアノの中に「レットオフフィール」という機能がついた製品が頭に浮かびました。

レットオフというのは、本物のピアノのキーを押し下げたときに、最後のところでカクンと一段クリック感みたいなものがあり、これはレペティションレバーがローラーを介してハンマーを押し上げたときにジャックという部品が脱進してハンマーを解放するときの感触(だと思いますが間違っていたらすみません)ですが、この本物っぽいタッチ感を電子ピアノで作り出している機種があるわけです。
これにより、少しなりとも電子ピアノの味気ないタッチに生ピアノ風の(とくにグランドに顕著なこの感触を)演出しようという試みでしょう。
私なら練習用として割り切って買う電子ピアノなら、専らこの点と価格を重視するような気がします。

調べてみると、候補に挙げておられたCAリーズならCA93という最上級モデルでないと付いていませんが、CN33という機種なら標準価格17万弱の製品にはこれが搭載されてています。

その結果、この方は再度あれこれ試してみられた結果、CN33よりもCA13のほうが実際のタッチが良いと感じられたそうで、ついにこれを購入されたとのこと。
ちなみにCAシリーズは木製鍵盤がウリとのことで、電子ピアノでそれはポイント高いと思いました。

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