仮の嫁入り

日曜は、現在ピアノ購入を検討している知人のご夫妻がマロニエ君宅に来られて、しばらく我が家のピアノを弾いていただきました。
ピアノは(他の楽器もそうかもしれませんが)、自分が弾いているときに耳に聞こえてくる音と、人が弾いている音を少し距離を置いて聞くのではかなり印象が違い、とても客観的に聞くことが出来るので、マロニエ君自身にも大いに楽しめる体験でした。

とくに大屋根を開けることは普段まずないので、こういう機会を幸いに全開にして弾いていただきましたが、普段とはまったく違う自分のピアノの一面を知ることができて有意義でした。

我が家で2時間近く過ごしてから、楽器店に移動。

そこにあるピアノは小型のグランドで、既に弾いたことのあるものではあったものの印象が良かったために再度見に行くことになったのでした。
前回とは別の場所に置かれていたましたから、置かれた環境によってピアノがどのような変化をするか、つまりピアノそのものがもつ基本的な特徴がどの程度のものであるかまで確認することが出来たわけですが、場所が変わってもまったくその長所が衰えることも影を潜めることもなく、はっきりと我々にその力強い魅力を訴えてきたように感じました。

驚いたことには、席を外された奥さんが再び店に戻ってくる際に、遠くまでこのピアノの音が周辺の喧噪を貫いて朗々と鳴り響いてきたとかで、やはりスタインウェイの遠鳴りは大したものだと思いました。

知人は、ついにピアノ自体については概ね納得するに至りましたが、残るはこのピアノを購入して自宅に置いた場合、同様の鳴りや音色がこのまま得られるかという点で悩み始めたところ、この日はたまたま決定権のある営業の人物が先頭に立って対応していたこともあり、だったら家にピアノを入れてみましょうか?という思い切った提案をしてきました。

購入するかどうかもわからない高額なピアノをいきなり自宅に運び入れるというのは、驚きもあり抵抗感もあったようですが、マロニエ君はこれ幸いだと思いました。
まさかこっちからそれを頼むわけにはいきませんが、店側が自発的にそれをやってくれるというのなら、現実的にこれに勝る確かな確認方法はないわけですから、この際そうしてもらったらどうかと、すかさず小声で言いました。

果たしてそのような手続きを取ることとなり、後日このピアノは知人の自宅へと、いわば仮の輿入れをしてくることになりましたが、はてさて結果はどうなりますことやら。

購入すればきっと一生の宝になること間違いなしだとマロニエ君は思いますが、あとは細かな条件的なものもあるのかもしれません。
いつもおなじことを書いて恐縮ですが、ピアノを買うというのは実にいいもんですね!
人の事でも楽しくなってしまいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です