最近は円高のお陰もあるのでしょうが、ずいぶんと肉類の値段が安くなったように感じます。
とくに牛肉が安くなったように思うのですが、実際のところどうなんでしょう。
輸入肉から連動してのことなのか、国産牛もなんとなく以前より安くなっているような気がするのですが確かなことはわかりません。
さて、輸入牛肉なんて、昔はただの安物で、国産を高級品に押し上げるための肉といった印象がありましたが、あるころからこれに固有の美味しさがあることに気がつきました。
たぶんマロニエ君の記憶違いでなければ、1999年にオープンしたコストコホールセールで買うようになってらだと思うのですが、ここはアメリカの倉庫型ショップで、文字通り店内はアメリカそのもの。
牛肉などもごく一部を除いてほとんどがアメリカらの輸入品でした。
それ以前はオーストラリア産が主流でしたが、こちらは大したことなく、同じ輸入牛肉でもアメリカとの味の差は見過ごせないものがあると感じます。
これを痛感したのはコストコで販売されている、特大サイズの分厚いステーキなどで、はじめは日本人の習慣で硬さばかりを意識して、ゆっくり味わうところまでは至りませんでした。
その後、普通の国産牛のステーキなどを食べてみると、たしかに柔らかさは勝って食べやすいから味まで美味しいように感じていましたが、それでもコストコホールセールに行く度に、その気前の良い厚さや量など、買いたくなる誘惑に負けてアメリカ産牛肉も買ったりしているうちに、硬さの問題でつい見落としていた独特の美味しさがあることに気が付くようになりました。
いったんそれがわかると、その違いはより明確なものになりました。
アメリカ産にはそれ自体にいかにも牛肉らしい旨味があり、それとは対照的に味が薄いのがオージービーフだと思うようになりました。ここがもしかしたらあの飼料の違いなのかもしれませんが。
ともかく、味がいいから、今後はアメリカ産牛肉中心で行こうと思っていた矢先に、例の狂牛病問題が沸き起こり、一時は吉野家などでも大騒ぎとなって、せっかく気に入っていたアメリカ産牛肉の輸入が途絶えてしまいます。
それから数年が経って、最近ではようやくスーパーの店頭にもアメリカ産が復活してきているのは嬉しい限りです。
最近はときどきこれを食べますが、やはりアメリカ産にはカウボーイ的な野趣溢れる独特な肉の美味しさがあり、これは病みつきになります。
ところが日本人というのは、いったん刷り込まれたイメージというのは少々のことでは覆ることがありませんから、おそらくは90%以上の人が輸入肉はたんなる安物という先入観があって、あまりこれを好んで買おうとはしていないようです。
例の騒ぎの後遺症もあって、位置付けとしてはアメリカ産はオージービーフのさらに下で、国産を頂点にしたヒエラルキーが消費者の意識の中にしっかり出来上がっているような気がします。
国産牛の場合、我が家は最上級品なんて買いませんから、せいぜい中ぐらいのものと較べると、たしかに国産牛は味もそこそこで、食べやすい感じはあるものの、アメリカ産の独特のコクのあるワイルドな味に較べたら個人的には国産牛が味に関して上だとは言い切れない気がします。
先日など、スーパーでスライスしたアメリカ産の牛肉がかなり安く売られていましたが、そのスーパー自体が極端に変なモノは置いていないので、試しにこれを買ってみたところ、やっぱりあのアメリカ産独特の濃密な肉の味がありました。
牛肉はやっぱりこうじゃなくちゃと食べるたびに思ってしまいます。
少なくとも輸入ピアノと日本製ピアノの音色の違い以上のものがあるとマロニエ君は感じています。
アメリカ産は格下だと思い込んでいる方、いちど偏見を取り払ってアメリカ産牛肉特有の美味しさを味わってみてはいかが?
なによりも、安全性の面を最優先に心配される方には向かないかもしれませんが。