続々エアコン依存症

マロニエ君のような困った体質を持つ者にとっては、季節の変わり目というのは、その時期をなんとか無事に通過するだけでも普通の人以上に大変です。

このところは朝夕は肌寒ささえ感じるまでになってきましたが、それでも、つい数日前までは夏の名残のある一時的なものだったから、折々に冷房をいれるなどして不快感を凌いでいたのですが、一昨日所用があって天神に出た折には、中途半端な気温だったところへ、あまつさえ雨まで降り出しました。

通常、雨が降れば同時に温湿度は上昇するものですが、この日は湿度のみが上がり、気温のほうは上がらずに肌寒さが加わるという変則的なものとなり、それでついにマロニエ君の体になにか異変が起こったようでした。

用事を済ませ、それでも這いつくばるようにしてヤマハなどをちょっと覗いた後に帰宅しましたが、このときはずいぶんと不当に疲れたという印象がありました。

巷ではいま、風邪がとても流行っているということを耳にしますが、ついに自分も風邪をひいたかと思うほど疲れがおさまらず、何よりも大きな変化は、ついに体が寒いと感じはじめたことでした。
本当に寒いのか、発熱のための悪寒なのかは判然としないまま、薬をのんだり寝具をやや温かなものへ変更したりと、マロニエ君が騒ぎ出すと家人も大慌てです。
この半年近く、冷房これ一筋で過ごしてきたマロニエ君の口から、ついに「寒い」という言葉を聞くのは、家人もささやかな驚きに値することらしいです。

これはなんとなく自分でわかるのですが、体内の夏冬の切り替えが一昨日を境にして、ついにガッチャンと切り替わったような気がしました。それまで多少寒くても冷房だったものが、いったんこれが切り替わると今度は一転して、ちょっと肌寒くても暖房を入れたくなる、ここがまさにエアコン依存症のタチの悪さといったところです。

自室でもそれは続き、前日まで冷房を入れるたびにフゥ〜と生き返るような気分を味わっていたものが、翌日には一転してあたりが妙に寒々しく感じられて不安になり、つい暖房を入れたくなってそわそわしてくるのです。
さすがにそれはマズかろうと一日は我慢しましたが、こんな一時しのぎはそういつまでも続くはずもなく、マロニエ君の部屋に暖房が入るのもそう先のことではないはずで、困ったもんだ…という感じです。

マロニエ君のような体調の持ち主も困りものですが、親しい医者にいわせると、もっと危ないのは倹約が体に染み込んだ高齢者なんだそうで、やみくもに電気代のかかるのを嫌がって夏はエアコンを極力使わず、自宅にいてさえ熱中症になったり、冬は暖房をケチったがために心臓や血管にストレスがかかって体調を崩す、悪くすれば入院、最悪の場合落命なんてこともあるそうで、これは専らメンタル面の働きのなせる技のよです。

こういう人達は冷暖房によって自分の体の健康を守って維持するという観念がまったくなく、自然が一番などと心底信じ切っているから、いわば無意識のうちに我が身を苛み犠牲にしてまで倹約に勤しんでいるわけで、まあそれに較べたら、エアコン依存症のほうがいくらかまだマシかぐらいに思っています。

とはいっても、マロニエ君のエアコン依存症もきっとメンタル面からくる欲求が大きいわけで、べつに健康のためでもなければ、長生きをしようとしてやっていることではありませんけれども。

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