暴走老人

このところ新聞紙上や書店などでよく目にする言葉に「暴走老人」というのがあります。

もともとは本の題名にこういう言葉があったようですが、はじめはなんのことだかわかりませんでした。
きっと今どきの高齢者の実像を社会現象として捉えて、おもしろおかしく書いたものだろうぐらいには思っていましたが、その後もこの言葉は消え去ることがなく、テレビでも聞くし、さらには先ごろの新聞ではこれが「増殖中」などという文字まで見るに至りました。

しだいにマロニエ君もなんとなく心当たりも出来てきて、最近では高齢者の方の行動であまり感心できないことをいくつか目にするなどしていたので、どうもたまたまの現象ではないらしいという気もしはじめて、だとすると非常に由々しきことだと思います。
若者の行動や態度がよくないのももちろん困りますが、さらに人生の先輩としてその規範となっていただくべき高齢者の方が社会人として破綻してきているというのであれば、なお一層深刻なものを感じます。

先日も知人とこの話が出たのですが、最近ではある部分においては若い人のほうがよほどマシで、高齢者の暴挙には驚かされる事が多いと言い出したのですが、たしかにそれはあるのです。

家人などもいつもぼやいていますが、例えばデパ地下などでの列の割り込みや商品の取扱いなど、高齢者には目に余る所作が目につくと言いますし、先日などもある店で、一人で買い物に来ていたおばあさんがいきなり列の間に割って入りましたが、当人はすましたものです。
と、途中で忘れ物があったらしく、一度列を離れたのですが、再び戻ってくるとまた同じことを繰り返して、中学生ぐらいの女の子の前にグッと割り込みました。その女の子は驚いた様子でたいそう不満げでしたが、結局なにも言わずそのままになりました。

マロニエ君自身も、過日ピアノクラブの懇親会の席でファミレスで歓談していたところ、一瞬ですがつい大きな笑い声を立てたところ(もちろんそれがいいとは言いませんが)、通路を挟んだむこうの壁際の席にいるやはり高齢の女性からいきなりヒステリックな調子で、突如噛みつくように文句を言われ、そのあまりの激しさにびっくりしました。
まあ、我々にしてみれば、その老女の発したキレ気味の奇声が店内に響き渡ったことのほうがよほど周囲にも迷惑だと思いましたが。

また別の日にも、知り合いと数人でいたところ、まるで理の通らない、ほとんど言いがかりとしか思えないような文句を言われたこともあり、みなさんよほどイライラしているのかと思いますが、それにしてもちょっと異様な気がします。
言っていることもいかにも身勝手で、話の筋道がまるきり立っていませんが、ご当人はなにしろ真剣だし、相手がお年寄りなのでみんなガマンでした。

さらにネットのニュースなどでも、このところ高齢者の話題はしばしば目につく問題で、その猛烈なパワーには驚くばかり。
70代の高齢者同士が殴り合いをして片方が重傷を負ったとか、80代の男性が運転免許の更新の事で警察官からあることを指摘されて激昂し、警察官の腕に噛みついてケガを負わせて逮捕されたとか、もはやこれ、明らかに歪んだ社会現象だと思われます。

現代のような社会に生きていれば、もちろん高齢者にも多くのストレスがかかっているのだろうとは思いますし、とりわけ感じるのは孤独からくる終わりのない圧迫ではないかと思います。
人生の晩年は本来なら穏やかに楽しく過ごしたいところでしょうが、逆に若い頃よりも生活環境が苛酷になるというのはそれひとつでも自然の流れに逆行することで、イライラも募るのでしょう。

共通しているのは独善的でひがみっぽく、ひどく差し迫った感じでかなり攻撃的だということです。
やはり優れた政治家が現れて、一日も早くこの荒れ果てた社会の建て直をしてほしいものです。

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