今年もすっかり肌寒さを感じる季節になり、少なくともあの暑苦しい夏とはきれいにおさらばした観がありますが、まだまだ庭には雑草が性懲りもなく生えてくるのはなんなのかと思います。
それもこの時期には似つかわしくない、いかにも若々しい新緑のような色をした雑草が、今ごろ思い出したように着実に生え続けています。
そのうちまた除草剤を撒けばいいやぐらいに思って油断していると、さすがに夏場の勢いはないものの、日に日に確実に伸びてくるのがわかり、だんだんこちらも焦ってきます。
それと、驚くのはもう11月となりこれほど気温は下がっているのに、庭に出るとまだ蚊がぶんぶんとまとわりついて、いまさら季節はずれにパチンパチンとやらなくてはいけないのは嫌になります。
思い起こせば「放射能の影響で蚊が激減している…」なんて話も耳にした今年の夏でしたし、雀の声がさっぱり聞こえないのはどうしたわけか、…なにかの悪い予兆では?などという話もまことしやかに囁かれたものですが、少なくともマロニエ君の生活圏ではまったく逆の状態が続いています。
雀も街路樹などにはたくさんいて、夕刻などはその鳴き声がいささかうるさいぐらいです。
雑草退治は、友人に手伝ってもらって除草剤散布を決行したところ、裏のマンションとの境目に不気味な空白地帯があるのですが、友人はついでだからといってそこにも除草剤を撒きに潜入していきました。
マロニエ君などは薄気味悪くてとてもそこまでする気はありませんでした。
しばらくして戻ってきた友人の体をみてびっくり仰天!
なんなのか種類は知りませんが草木の種みたいなものをセーターやズボンにびっしりとくっつけて戻ってきたのです。
見たとたん、その気持ち悪さに血の気が引きました。
ブツブツ恐怖症と同様のグロテスク感があって、思わず鳥肌がたちましたね。
すぐにそれを取り払ってやろうとしますが、ひとつひとつが目には見えない小さなトゲみたいなものでくっついているようで、指先で少々払ったぐらいではまったくひとつも外れません。
結局時間をかけてひとつづつ取っていくしかありませんでした。
種類もいくつかあって、2センチほどのか細い枝みたいなものがハリネズミのように無数にセーターに突き刺さっているようなものから、もっと小さくて虫のようなものが機関銃で撃ったように連続してびっしりとくっついていたりしていて、突然、気分はホラー映画状態になりました。
気持ちの悪いことこの上ない中、全部取るのはかなりの時間を要しましたが、いやはやあれはすごいもんですね。
なんというか…神経に訴えてくるような生理的嫌悪感がありました。
もともとマロニエ君は軽度のブツブツ恐怖症でもあるので、その面が大いに刺激を受けたようです。
思い出すだけでもゾクゾクと身震いしながらキーボードを打っています。
植物は人の生活には欠くべからざるものですが、野生の分野では、一転して不気味な面もいろいろともっていることも確かなようです。