タイルの怪

我が家の風呂場(洗い場)の床は、滑り止め用の、目の荒いタイルが貼られているのですが、このところいやにこれが滑りやすくなり、家庭内で起こる事故では風呂場が一番危険などという話も聞くと、困ったことになったと思いつつ、ひじょうに注意しながら過ごしていました。

家族はもちろん、マロニエ君自身だって、硬いタイルの上で転倒などすれば、へたをすると笑い事では済まないことになるでしょう。
一度はその対策として、何か良い滑り止め剤のようなものはないかとホームセンターに言って尋ねてみたことがありますが、該当する商品はない由で、マットや簀の子を敷く以外に目覚ましい効果を上げるような方法はありませんでした。

というわけで、家人ともよくよく気をつけるように注意の上にも注意するしかなく、やむなくそのままの状態で過ごしてましたが、マットを外すと滑りがいよいよ甚だしくなっているようで、危険なことこの上なく、これはアクシデントが起こってからでは遅いので、なんとかしなくてはというのがこのところの悩みの種でした。

それにしても滑り止め用タイルにもかかわらず、なぜこんなことになってしまったのか。
使っているうちにすり減って摩擦係数が低下しているのかとも思いましたが、それにしてもここまで滑りやすいのは尋常ではないという気配で、氷の上といえばいささか大げさですが、それに近いものを感じていました。

そんな折も折、風呂掃除をしている家人がマロニエ君を呼びに部屋に戻ってきました。
なんだかお風呂の床にヘンなものがある…というのです。

急いで行ってみると、そこにはタイル用の掃除器具で掻き集められた、不気味な半透明のゼリー状のようなものがたしかにありました。
この正体不明の物質が何であるかがわからず、天井からなにからずいぶん見てみたとのことですが、ついにわからずマロニエ君を呼びに来たということでした。

たしかに、普通にお風呂を使っている限りでは、あるはずのないものでした。
それからあちこちの捜索が始まりましたが、なかなか突き止められず、あきらめかけたとき「もしや…」という思いが頭をよぎり、ためしにリンスの容器を見ていると、なんとその下部がちいさくヒビ割れていて、そこからリンスが少しずつ漏れ出ていることがわかったのです。

最近は詰め替え用を補充するばかりで、容器自体はかなり古くなっていたこともあったようです。
それで、床の滑りはこれの仕業だということがわかりました。

まあ、そりゃあそうでしょう!
なにしろリンスなのですから、それがいつも流れ出ていれば床が滑るのは当然です。

その後は、すこしおさまった気はするものの、まだまだ安全とはいきません。
よほど効果の高いリンスだったのか、少々のことでは動じないほどしっとりツルツルで、これをギシギシガサガサにするにはどうしたものかと考え込んでいるところです。

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