車検狂騒曲

今月はマロニエ君が15年間乗り続けているフランス車の車検で、昨日は午後から時間をとってユーザー車検に行ってきましたが、これがなんとも大変な展開になりました。

車検にも備えていろいろと修理や整備はやってきたものの、さあこれから出発という段になってウインドウォッシャーが出ないことに気が付きました。
ユーザー車検では車検場のコースに入る事前のチェックで、灯火類(すべてのランプが点くかどうか)とか、ホーンがちゃんと鳴るかなどの検査項目があるのですが、その中にウインドウォッシャーが出るかどうかも含まれており、これらのチェックはひとつでも不合格になると車検は通過しません。

この日は4つに区分された時間帯の最後、すなわち14時半~16時というのを予約していて、昼食も抜きでガレージで準備しているときにウインドウォッシャーの故障が判明したのです。
そもそもマロニエ君はウインドウォッシャーを使う習慣がないために、車検の時以外でこのスイッチに触ることがなく、それが災いしてこの箇所の問題に気が付くのが遅れたわけです。

レバーを弾くとウーウーとモーターの音はしていますから、水を入れればいいだろうと思って、タンクに給水してみたもののサッパリで、ノズルの詰まりではないかと針で差してみたりあれこれやってみましたが、一向に水は出てきません。
やむを得ず、主治医の工場に急遽行くことになりましたが、自宅を中心にいうと車検場とはまったくの逆方向で、時間的な問題から実際よほどためらったのですが、これを解決しないことには車検は受かりませんから是非もありませんでした。

焦る気持ちを抑えつつ、10数キロもある工場に行きますが片道30分はかかり、これだけでもかなりの時間的ロスになります。さっそく診てもらうと、やはり音ばかりして水が出ない。
その後、プロのメカニックが30分も格闘してどうにもならず、左右のノズルに問題があることが判明し、緊急の措置として別の細いホースを引いてきて、それをタンクから出た本来のホースに繋いで、とりあえず形だけ水が出るという工夫をすることになりました。
車検場での検査というのは、要するにフロントの窓ガラスに必要時にチョロチョロでも水が出さえすればそれで合格となるわけで、これはまったく検査のための非常手段で、喩えは悪いですがこれは「人工○門」のようなものです。

寒風吹きすさぶ中、この処置ができるのを待ちながら、心中は半ば今日の車検はあきらめかけたのですが、とりあえず予約はしているし、やるだけのことはやってみようと車検場を目指します。
幸いにも太宰府インター近くなので、そこから都市高速に飛び乗って東を目指しますが、車検場の前に、その近くの整備工場に立ち寄って「光軸調整」というのを受けなくてはなりません。
これはヘッドライトが正しい方向を向いているかどうかの事前チェックで、本番をこれで落第するとまたやり直しが大変で、時間も食うので、このチェックと調整を有料ですが予めやっておくほうが安全なわけです。

この工場に着いたときは、すでに15時に迫っていましたが、店の人の話では15時半までに行けば大丈夫といってくれました。そうはいっても、車検場に着けば、まず陸運支局という役所の事務所に提出する大変な量の書類を揃え、そこにあれこれと記入しなくてはならず、それを思うと間に合うかどうかはほとんど自信はありませんでしたね。

こういうときの役所の書類というのは、実にもうばかばかしいもので、住所と名前だけでも何遍おなじことを書かなくてはならないか、ボールペンを持つ右手がひきつってくるようで、まったく憤慨させられます。
ほとんどなぐり書きも同然で記入して、書類の束を窓口に渡しますが、必ず一つや二つは不備があるもので、またそれを受け取ってはやり直しをして、これが完了してはじめて車検コースに車を進めることができるのです。

問題のウインドウォッシャーのチェックも無事通過、光軸もパス、その他諸々も一発で合格できて、やったぁ!と喜んだのもつかの間、エンジンの型式番号の確認という場面で、これがわからず係員が何人もやってきては細いペンライトをエンジン内部にあててエンジンブロックのどこかに刻印されているはずの小さな文字を捜しますが、これがやたらと時間を取ってしまい、終わったのはほとんど16時でした。

車検ラインで合格したことを証明する書類を、再び役所の窓口に提出して新しい車検証を受け取るのですが、マロニエ君の名前が呼ばれたときには、もう本当に最後の最後で、すべての窓口は16時をもって見事に閉じられたその後で、外に出た時はもう駐車場はガラガラでした。
まさにすべりこみセーフな一日でしたが、なんとか車検が通ってホッとしながら帰宅しましたが、心身共によっぽど疲れたのか、ちょっと横になったつもりが不覚にも1時間半爆睡してしまいました。

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