日曜夜の備え

金曜の夜、普段はあまり行くことのない週末のショッピングセンターというか大型モールに、たまたま成り行きで行くことになりましたが、その猛烈な人出にはちょっとびっくりしました。

時間帯は夜の7時半ぐらいだったのですが、まず広大な駐車場はどこまでもびっしりと無数の車で見事に埋め尽くされており、あちこちに空きを探す車が低速で這いずりまわっています。

とくに12月ということもあったのかもしれませんが、週末夜の大型モールというのはこんなにも凄い人出なのかと妙に感心させられてしまいました。
第2駐車場のようなところの隅の方になんとか車を置いて、ようやく店内に入りますが、いやあもう人、人、人であふれていて、とりわけ家族単位のお客さんが目立ちました。

ちょっとした買い物をしたのですが、このモールの中央広場というところでやっているらしい抽選会の券をもらったので、ついでと思ってそこに行ってみると、そこはまるでディズニーランドのアトラクション前のように人の列が何本も平行して伸びていて、抽選をやっているコーナーは遙か遠くにあるばかり。誰がこんなものに並ぶものか!と思って即放棄しましたが、まあとにかくお店としては大繁盛といった様相でした。

マロニエ君は約1時間強で退散しましたが、暖房と人ごみでぐったり疲れ、外に出たときは寒いのも忘れて新鮮な空気に思わずホッとするようでした。

さて、それから2日後のこと、買い物をした商品に不都合があり、交換に行かなくてはならなくなりました。
日曜でもあり、またあの人の海の中に突入して行かなくてはいけないのかと思うと正直ウンザリでしたが、さりとてそのまま買った物を無駄にする気もないので、やっぱり意を決して行ってきました。

着いたのは夜の8時台だったのですが、2日前の経験から相当の覚悟をして行ってみると、意外にもそれほどの混雑の様子もなくすんなり車を置けて、店内に入ると、そこで目にしたものは一昨日とは逆の意味での驚きでした。
これがつい2日前と同じところかと思うほど人の気配はまばらで、要するにどこもかしこもガラガラで閑古鳥が鳴いているように様変わりしていたのです。
抽選会場も、ウソのように空いていて、居並ぶ店員はみんな手持ちぶさたといった状態です。

個々のお店もほとんどが無人、もはや閉店時間を待っているだけといった風情なのはどういうわけか…。あまり人が多いのも嫌ですが、逆にここまで人がいないのも気分は下がりまくりです。

要するに、明日は月曜で勤めや学校というわけでしょうが、それでこうも極端に人の流れが変わるというのは恐いぐらいで、日本人というのはなんという健全な、安全指向の、真面目と言えば真面目なのか、なんとも面白味のない民族かと思いましたね。
別に夜遊びを推奨するわけではありませんが、これじゃあまるで小学校の時間割のようで、以前はこれほど極端ではなかったと思いますが、とくに今どきの人は安全とか備える思考・感性が身に付いていて、なんともお堅いことかと呆れずにはいられませんでした。

その点では、欧米はもちろんでしょうが、近隣諸国の韓国、中国、台湾などに行くとまったくそういうことはなく、平日でも夜遅くまでみんな元気に熱っぽく遊んでワイワイ楽しくやっているのには瞠目させられます。
少なくとも夜の11時12時ぐらいまでは街中は大変な賑わいですが、日本ときたら平日とか日曜夜というと、ここまでパタッと潮が引いたようにみんな家から出ずに明日に備えているんでしょうね。

あまり無謀なのも困りますが、多少の遊び心というか、陽気で大胆な活力みたいなものはないのだろうかと思います。少なくとも現代の日本人が失ったものは輝くような勢いとか、度胸とか、奔放さみたいなもののようで、だからなんでも面白くないんだと思いました。
今の日本の社会が暗いのは、あまりにも守りのための安全枠が念頭にありすぎる点ではないかと思いましたね。誰から強制されるのではなく、みんな自分から堅実に振る舞うのが当たり前のようで、これじゃあ景気も回復しないのは当たり前というか、そもそも人間が不景気ですね。

夜、人がいなくて街が閑散とするのは、もうそれだけで都会とはいえず、まるで田舎の「早寝早起きは三文の得」といった趣です。
多少の不健全を容認するのも健全の証であって、これだけみんなが守りに徹して足並みを揃えるということそのものが、どこか全体主義的で、これぞ正しく不健全だと感じてしまいました。

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