昨日は全国的に成人式が行われたようですね。
本来はおめでたいことなんでしょうが、毎年このニュース映像を見ていると、なんともやりきれない気分になるものです。
常々、日本人は控え目で精神的で、礼節も気品もある、世界的にも稀にみる高度な民族だと自負しているのですが、この成人の日の光景だけはそういった認識を、ポンと蹴ってちゃぶ台でもひっくり返されるようです。
とくに毎回感じるのが、その服装や雰囲気のセンスで、時代によっても多少の変化はあるにしても、基本的にはほとんど見るに堪えないあの演歌歌手顔負けの出で立ちと、若いのに妙に毒々しい雰囲気はどこからくるのかと思います。
成人式ということは、文字通り大人の仲間入りを果たすわけですから、本来ならやや大人っぽいシックな服装であって然るべきでは?思いますが、実際のそれは、どうみても下品なヤンキーのイベントのようにしか思えません。
本来、若くて瑞々しく、美しいはずの新成人たちは、ちっとも美しくない。
そうではない人も中にはいるのかもしれませんが、少なくともそういう人や気配は映像には出てきません。
女性の振り袖姿も、年々その過激度を増して、まるで漫画本の表紙みたいだし、ヘアースタイルなどもほとんどキャバクラ嬢がずらりと並んだようです。
さらに驚くのは以前にも増して男性にも和服姿が目立ち、それも当たり前の黒の紋付き袴などではなく、そこらの芸人顔負けのけばけばしい色物だったりで、どこをどうしたらこういう方向に進むのか訳がわかりません。
従来の日本の和服文化の中にはあり得ないような突飛なものばかりが大挙横行しており、いやしくも武士の歴史をもった日本の男性が、いまや華奢な体に真っ白とか真っ赤の羽織袴を着て、ノリノリでふざけながら写真などを撮っている姿は、ちょっと気分的に忍びがたいものがあります。
とりわけ日本人というのは何をやらせても、繊細さとか控え目な神経がすべてに貫かれているものですが、こと成人式に関してだけは着ているものは和服でも、まるで野卑な外国文化に触れるようで、日本的ではない気がします。
同じ人達が、ひとたび就職活動ともなると、まったく別人のごとく申し合わせたように雰囲気を変えるのだろうとも思いますが、ともかく成人式という段階では、なぜこうまで暴走族の集会のような雰囲気にしなくちゃいけないのか、まったく理解に苦しむばかりです。
今年はどうだったか知りませんが、これまでは式の進行さえできないほどの乱痴気騒ぎが頻発したりと、荒れた成人式というのもずいぶん前から問題にされてはいますが、大半は事実上の野放し状態のようです。
というのも、それを真から叱って許さない社会の空気がないからではないかと思います。
聞くところでは、このようなイベントをとり仕切る地域の中心人物である市長や町長など、いわゆる首長(くびちょう)達は、なんと、若者が成人になることは、すなわち新たに有権者となることから、その票ほしさに、やたらとゴマをすって彼らの暴挙にもニヤニヤ笑うだけで、はやくも選挙目的の行動しかとれないという、なんとも開いた口が塞がらないような構造があるのだそうです。
まあ政治家なんて所詮はそんないやらしい生き物だと思っておくとしても、現代の若者のセンスはもう少しなにがしかの美意識が本当はあるはずだと信じたいマロニエ君です。
あれを見ていると、根底には今だすえた臭いのする演歌の国なのかもしれないという気がして、思わずゾクッときてしまいます。