車のことで調べたいことがあってネットを見ていると、偶然ある人のサイトに辿り着きました。
世の中にはどんな分野にも「達人」というべき人がいるもので、この方は輸入車の販売業をやっている人らしいのですが、実に多種多様な車に文字通り精通してたスペシャリストで、各クルマごとに分けて非常に参考になる濃い内容がたくさん載せられていました。
プロフィールを見ていると、わりに若い人のようでしたが、どうして立派なものです。
自分が好きなことで、それを職業として毎日関わっているというのは、まさに植物が必要な水や栄養をぐんぐん吸い上げるように、知識や経験がとてつもない量蓄積されていくという見本のような人です。
しかも、その方は主に輸入車の中古車販売を自分でやっているらしいので、関わる車種の幅広さも多岐にわたり、特定の新しい車種しか扱わない、ただの月給取りのディーラー営業マンなんかとは、その知識経験の深さと広さには雲泥の差があるようです。
まさに何でも弾ける、昔のアラウとかアシュケナージみたいな感じですね。
あらゆる車の個性や魅力、モデルの変遷、長所短所、経年変化で起こるトラブルの特徴など、つい「なるほど」と思わせられるものばかりで、もうこれだけで立派な本ができるのは間違いありません。
また、中古車販売販売業者として車種の垣根を超えて、日々多種多様な車に触れているということは、それだけ車を見る目、判断力もより正確で信用度の高い客観性が備わっていて、一部の車種を偏愛したり忌避するということもないのです。
読むほどにどの車種においても的確な判断がくだされ、しかも根底にあるクルマ好きの心情がひしひしと伝わってくるので、読み物としてもついやめられないほど面白いものでした。
文章は、車の国籍ごと、さらにはメーカーごとに分類されていて、最後にいよいよマロニエ君所有のフランス車についての記述を開いて読んでみることに。
はじめは楽しく読んでいたところ、我が愛車の名前なども登場してきて、さあ何と書いてあるかと思ったら、車としての孤高の魅力は大いに認められていたものの、故障やパーツ供給、整備の難しさから「最も買ってはいけない車」!?として結論づけられていたのには、覚悟はしていたものの思わず倒れそうになりました。
「むろんその車のことをわかった人がそれを承知で乗るぶんには、他に変わるもののない良い車」というふうに断りは入れてあり、ゆめゆめ甘い覚悟で購入するべきではないという警告でもあるわけですが、やっぱり総論として、できれば避けたいワーストの部類に入れられたというのはトホホでした。
もっともマロニエ君のまわりには、そのトホホを自虐的な楽しみであるかのようにして悲喜こもごもに乗っているオバカも多いので、まあ笑い話がまたひとつ増えたぐらいの感じではありますが、普通の感覚でちょっとオシャレなクルマに乗りたいぐらいな感覚で買おうものなら、それこそとんでもないことになるのは請け合いです。