金曜夜はピアニストの望月未希矢さんが主催する「音楽の話」に参加しました。
全6回のシリーズで、今回で4回目とのこと。
会場は赤坂のベニールカフェという趣味の良い喫茶店で、今回はショパンを中心にした演奏と話でしたが、店内は所狭しと椅子が並び、それでも次々にお客さんがやって来るほどの盛況ぶりでした。
まずは簡単な挨拶につづいてノクターンを一曲演奏するところから始まり、ショパンの生い立ちに沿って、わかりやすく話がすすめられました。
ピアノ演奏のほかには、スピーカーを繋いだパソコンからの出力で、チェロソナタの第3楽章やフィールドのノクターン、あるいはショパンが愛していたベッリーニのノルマのアリアなどを聞きながら話が進みます。
ショパンの作風には歌謡性が濃厚ということで、それまでの古典派との作風の違いや和声の特徴なども語られて、なるほどという話をあれこれ聞くことができました。
しかもそれがお堅い勉強のようにならず、望月さんの穏やかなお人柄故だと思われますが、あくまでもサロン的な楽しみの延長として、参加者がこのような話や音楽に触れられるというのは、とても新鮮な感じを覚えました。
会場となったベニールカフェのサイズもちょうどよく、温かな雰囲気の店内に、望月さんを中心としたやわらかな時間が流れていて、とても心地よい1時間だったのが印象的でした。
欲を言うと、お客さんの作り出す雰囲気がどうしても硬くなりがちで、できればもう少しほぐれて自然な感じがあったらもっと良かっただろうと思いますし、そのほうが望月さんも話をしたりピアノを弾くにあたって、やりやすいのではないかという印象でした。
話や演奏をきくことに傾注するあまり、あまりにも一同が身じろぎもせず、かたく息を殺したようになるのは日本人がしばしば陥りがちな状況ですが、もう少しリラックスした気配が聞く側にもあると、さらに楽しさが増すだろうと思いました。
もちろんガヤガヤして、集中力が阻害されるようでは困りますけれども。
近年はトーク&コンサートというスタイルこそ盛んですが、実際はお客さんに媚びただけのつまらないトークを聞かせられることが圧倒的に多く、会場もホールではなかなかしっくりきません。
それなら、いっそこのような親密な空間で静かに珈琲など飲みながら、気負わずに生の音楽に触れるというのは、これこそまさにコンサートホールではできないことで、意外にありそうでなかったスタイルじゃないかと思いました。
望月さんは演奏や音楽に対する造詣が深いのはもちろんですが、お若いのに、奇を衒ったところのない非常にまっとうな日本語を使われる方で、自然体で、ものの感じ方や考え方なども非常に共感を覚える点があるのですが、最近ではむしろ珍しい部類の方といえるかもしれません。
さて、このシリーズは同じ会場で毎月第3金曜日に行われており、3月はドビュッシー、4月は最終回で武満徹とビートルズだそうです。
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