春の激しさ

桜の季節もようやく終息に向かっているようです。
春は寒さが緩み、花が咲き、命と明るさの象徴のごとくで、巷間良いことばかりのように言われますが、マロニエ君にとっては一年を通じて最も苦手な季節です。
そもそも春は、決してぽかぽかするばかりの穏やかな優しい季節ではなく、天候は毎日が目まぐるしく変化し、激しい風雨を伴う嵐のような日も実際多く、イメージよりはずっと気性の激しい荒々しい季節だと思います。

それというのも季節の変わり目は体調の管理が難しく、この季節はもっとも健康管理にも気を遣いますから、却って冬の真っただ中のほうが楽だったりします。

ヒーターを入れるかどうか迷うような時期はなにやらとても落ち着かず、体かどうしていいのかわからずに困っているのが自分でもよくわかります。
春が終わると次は梅雨の到来で、湿度が高いこの時期は喘息などの症状が出やすくなります。
これから梅雨が終わるまでは、心して過ごさねばならないと思うとうんざりします。

以前、恩師の一人である先生にこのことを話したら、「あなたはチェンバロのような人ね!」と言われました。
その先生は見るも美しいチェンバロをお持ちなので、その繊細で難しい管理経験から面白がってそう言われたようですが、チェンバロのような美しい音でも出せるわけでもなし、ただ単にこの体質には困るばかりです。

ピアノの管理には温湿度管理が大切と言われますが、とりわけ湿度はピアノのため以前に、まず自分の健康管理にもつながっているので、マロニエ君はこれを怠ることはなく、それがピアノにもちょうど良い環境をもたらしている点はなんとも皮肉な感じがします。
でも実際、ピアノに望ましい温湿度の環境は、そのまま人間にとっても快適なものですね。

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