かけこみ需要

つい先ごろ発売されたばかりの新しいシゲルカワイのカタログを入手しました。
カワイの営業の方がコンサートのチケットを届けに寄ってくださるついでに、新型のカタログが欲しいとお願いしておいたのです。

今回の新モデルでは、なんとピアノの全長が全5モデルにわたって2cm長くなっています(SK-5のみ3cm延長)が、どうやらそれに伴って鍵盤延長という楽器の根本に関わる改良が行われているようです。
一般にフルコンが弾きやすいとされるのは、その豊潤な響きもさることながら、長い鍵盤にもその大きな要因があるといわれていますが、それは指先が弾いた位置から支点までの距離が長いぶん、微妙なコントロールの幅があるというセオリーに裏付けられています。

鍵盤の奥の長さはふだん目に見える部分ではありませんが、小さなグランドほど鍵盤から支点までの距離が短くなり、コントロールの可能性という面においては不利になることは否めないわけですが、これを新SKシリーズでは全機種にわたってその長さを延長するというのは、単なる既存モデルの改良では済まない、ピアノの基本的なサイズ変更にまで及ぶことで、これはかなり大がかりで思い切ったモデルチェンジと言えるのだろうと思われます。

それだけメーカーが本気でこのピアノの改良に取り組んだということでもあり、それだけ価格も概ね10~15%値上がりしていますが、これだけ根本的に改良されたモデルチェンジならば納得できるものだという気がします。

これだけのことをやられたら、さぞかし従来型のSKシリーズのユーザーは心穏やかではないだろうと思われましたが、マロニエ君を最も驚かせたのは、なんと、この機に値上がり前の旧モデルの新品在庫品を求める声がかなり強かったという…?!?…な話でした。
もちろんモノを買うときに、(とりわけ高額商品では)出費は高いより安いほうがいいことはわかりますが、それはあくまでモノが同じである場合の話ではないかと思います。
単純な値上がりというのならわかりますが、これほど本格的にテコ入れされた新モデルの登場によって発生する値上がりであるなら、そこには相応の根拠というか裏付けがあるわけで、もし自分が「新品のSKシリーズ」を購入する立場であったなら、そんな時期にわざわざ旧モデルを買おうだなんてたぶん思わないでしょう。

レギュラーモデルではなく、敢えてSKシリーズを買おうというような人が、なぜ新モデルは値上がりしているのか、その理由をまったく知らないとも考えにくいのですが、やはり値上がりするということから、その内容云々よりも今のうちに駆け込み購入しようという単純な消費者心理が働いてしまうものなんでしょうか?
値上がり前に買っておけば何か得するような気分になっているのだとしたら、お米やバターじゃあるまいし、この場合はちょっと驚きです。繰り返しますが、その得するというのはモノが同じだという前提のもとでしか成り立たないと思います。

たしかに最低でも26万円、SK-7では実に84万もの値上がりではありますが、どっちみちもともと安いものでもないし、どうせ思い切って買う一生ものに近い高額なピアノであれば、へんなところでケチって悔いを残すよりも、妥協のない良いものを手に入れたいとマロニエ君なら思います。
とくに今回は、先に述べたように鍵盤の長さやボディサイズという、あとからではどうにもできない明瞭な違いがあるのであれば、マロニエ君だったら絶対額よりもその実質のほうを重視すると思います。
値札の数字ではなく、真実お得なのは何かという問題です。

本当に欲しいもので、それだけのお金が出せるのなら、そこで一割ぐらい上がっても、変更された内容を考えれば大した問題ではないような気がするのですが…。

すでにショールームにはSK-2とSK-3がきているとのことですから、そのうちちょっと触りに行ってみたいと思います。

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