ピアノ磨き

黒の艶だし塗装のピアノをお持ちの方は、塗装面のお手入れはどんなふうにやっておられるのでしょう?
楽器店で売っているクリーニング液などを付属のネルの布などにつけて、薄く伸ばしながら拭きあげるというのが一般的な方法だと思います。

ところで、マロニエ君は自分のピアノには一定の考えがあってカバーはしていません。
音の問題もありますが、よくあるあの表は黒で裏には朱赤のネル生地がついた、いかにも学校の音楽室みたいなカバーがどうしても好きになれないのです。とりわけ黒と朱赤という色のコントラストは神経に不快なのです(尤も最近は裏地も黒といういうのもありますが)。
で、カバーをしていないぶん、音もカバーによる妙に籠もったようなものにならなくて済んでいます。

しかし微細なゴミは確実に塗装面(とくに水平面)に降り積もり、そのつど柔らかい布などで除去しますが、よくみると固着してしまう微細な汚れもあり、これは空気中には必ず含まれるものなので、これはなんらかのケミカル製品の助けを借りなくては安全に取り除くことはできません。

マロニエ君は最近でこそすっかり大人しくなりましたが、一時は大変な洗車マニアで、ありとあらゆるケミカル品を使っては試し、当時の我が家のガレージの棚には無数のワックスやコーティング剤がずらりと並んでいたものですが、ピアノの塗装面を見るとちょっとそのあたりの虫が疼いてくるわけです。

さて、その洗車のためのケミカル品、とりわけキズ落としや研磨剤、さらにはつや出しに至るまでの薬品は、意外にもピアノに流用できるものがあるとマロニエ君は考えています。まあそれもそのはずで、例えばピアノ業者がキズだらけのピアノを磨き上げるには、車と同様、目の異なるコンパウンドを使い分けながらグラインダーで磨いていくことで、ようはキズのある塗装面を薄く削り取って、美しい平滑な艶を磨いて出しているわけですから、こういうところはまったく同じなんですね。

素人が下手にコンパウンドを使うと却って細かい傷を付けたりくもらせてしまう場合があるので、これはよほど極細の最終仕上げ用以外は使わないほうが無難ですが、なかなか良いのはキズ消しとコーティングの効果がある製品で、これを使って磨くと、ピアノはかなりきれいになります。
ここでもキズ取りには若干ですがコンパウンドが巧妙に混入されており、それが塗装面の汚れを取り除いてきれいに仕上げるのに役に立つわけです。
ちなみに一般的な車用のコーティング剤の場合、同じ製品でも「ダークカラー系用」「淡色/メタリック系用」「ホワイト系用」という3タイプに分かれているのが普通ですが、この違いは何かというとコンパウンドの含有量もしくは粒子の違いで、ダークカラー系が最もキズが目立ちやすいので、そのぶんコンパウンドも最も弱く、効力もソフトなものになっています。

というわけで、黒のピアノには当然ダークカラー系を使うのが順当でしょう。
これで磨くと、ボディに美しい艶が出るし手触りもツルツルになるのはもちろん、くすんでしまった鍵盤蓋のYAMAHAやKAWAIの文字もビカビカの金色がよみがえり、これだけでもなにやらとても新鮮な気分で練習にも励めるというものです。

ただし、これはあくまでマロニエ君の個人的な経験と考えですから、マネされて何か不都合が起こっても責任はとれませんので、いちおう念のため。

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