ピアノ磨き2

いつだったか、ホームセンターに行ったついでにカー用品を見ていると、この分野も時代とともにずいぶん様変わりしているようです。
昔は生粋のカーマニアというのが珍しくなかったので、手間暇のかかる洗車や、ややこしいカーケアにも労を厭うことなく、専門のショップなどは高額な最高級ワックスだとか何とかいったものが溢れかえっていたものです。
しかし車に対する人々のニーズもしだいに変わり、それに伴ってカーケアの種類や方法も変わっていきました。

例えばワックス入りカーシャンプーみたいなものも出てきて、洗車とワックスがけの手間をひとつにまとめるなど、要するに結果はそこそこでも、作業はできるだけ簡単・短時間なほうがいいという傾向が現れ、次第に数を増し、ひとつの流派が確率されていきました。

さらにその上を行くものに、ウエットティッシュから発想を得たような、水入らずの「おそうじシート」がブームになり、これがカーケアの世界にも入ってきました。
これは最初は女性向けの手軽な洗車用品として登場しましたが、マロニエ君などは、こんな赤ちゃんのお尻拭きみたいなものは一時の思いつきのようなものですぐに姿を消すはずだと踏んでいましたが、結果はまったく逆で、次第に種類や内容もより豊富な製品が揃うようになりました。

出始めは、単にボディの汚れの除去剤を含ませた車用おそうじシートだったものが進化して、今ではワックス入りなどの種類も増えて、中には小キズ消しからコーティングまで一気にやってしまうという一手間で何役みたいなものが並んでいます。
これらを見ているうちに、これはもしかしたらピアノに使えないか…という考えが頭をよぎりました。

価格は300円前後から700円ほどの間で、内容というか、いわば効能も様々のようですが、安くて作業が簡単という点ではどれも共通しています。
とりあえず一番安いベーシックな「ワックス入り」を購入し、恐る恐るピアノに使ってみたところ、予想以上の上々な仕上がりにいたく満足しました。

使い方は、水ぶきして軽くホコリを落とし、シートに含まれる水分(というかワックス?)を軽くのばした後、時を置かずに柔らかい布で拭き上げるという至って簡単なものです。

ポイントは洗車のときと同じで、一度に広い範囲へ拭き広げることはせず、部分ごとに塗っては拭き上げるという作業を繰り返していくことです。
とりあえずサーッと一通りこれで拭き上げてみると、さすがはワックス成分が含まれているだけあって全体がピカピカになり、思わず「おおお!」とばかりに嬉しくなりました。これをもう一度繰り返すと、さらに輝きは増して安定したものになるだろうと思われます。

なにしろ作業自体がえらく簡単で、こんなにあっさりきれいになるなんて!
しかも拭いた後の感触が新品のようにツルツルで、楽譜なんてツーッと滑って行って、そのまま向こうに落ちてしまって慌てたぐらいです。

こうなると、またオバカなマロニエ君のことですから、違った製品をあれこれと買ってみなくては気が済まなくなりそうです。そんなことをする暇があれば、ちょっとでも練習をした方がいいのかもしれませんが、いざとなるとそんなことはどうでもいいわけで、これぞアマチュアの強味というか特権です。

だって弾くことは義務ではないんだもん!いつ中断してもどこからも文句が出るわけではなし、むしろ騒音が減って歓迎されるほうでしょう。
それはいいとしても、磨き事にハマってしまいそうな自分がこわいです。

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