廊下に立たされた

昨日、日本人はルール好きだということを書いたばかりでしたが、ひとつ思い出したことがありました。

先週、ピアノ好きや楽器業界などで話題の映画『ピアノマニア』を観に行ったのですが、上映開始20分ほど前に会場に到着し、チケットを買って目の前のロビーに立っていると、ほどなくこの映画館の従業員の女性がやってきて、「こちらはピアノマニアを上映致します」と、廊下を挟んで左右にある2つのシネマの右側を手で示しながらあたりに聞こえるにアナウンスし始めました。

単に左右あるシネマのうち「こちらですよ」というお知らせかと思ったら、言いながら自ら廊下の中ほどまで進んで、ドアの前に立ち「こちらにお並びください!」と逆らえない感じに言い始め、待っている人達は仕方がないので言われるままにぞろぞろとそちらに移動を開始しました。
すると、その女性の司令はさらに続き「こちらから、“2列に”お並びください」と言って、まごつく一同がきちんと廊下の右の壁寄りに2列縦隊を作るまで、繰り返して「右側に」「2列に」と大きな声で、ほとんど命令的に言ったのにはちょっと驚きました。

その状態では、まだ開場はしておらず、映画を見に来たお客さんは、思いがけず、まるで学校の朝礼かなにかのように薄暗い廊下のドアの前からきちんと並ばせられて、女性の指示通りに2列縦隊を取らされました。

しかもそれですぐに会場入りができるわけではなく、正確に計ったわけではありませんが、その状態で約10分ほどだったと思いますが、そのまま棒立ちの整列状態で待たされました。
いい大人が、自由意志によって料金1800円也を支払ってこれから映画を観ようというのに、このような強制を受けようとは夢にも思わず呆れてしまいましたが、同行者もいたことでもあり、そこで憤慨しても仕方がないので、この場はおとなしく従いましたが、後から考えてもこれはちょっと映画館側もやり過ぎだと思いました。

見方によってはナチに連行されるユダヤ人のようでもあり、(自分を含めてですが)なんとおとなしいアホな人達かとも思いました。
映画館の従業員にしてみれば、自分達の指示ひとつでお客さんをいいように動かして、並ばせたり、待たせたりするほうが都合がいいのかもしれませんが、これでマロニエ君は、この映画館に対する印象がすっかり悪化してしまいました。
せっかく『ピアノマニア』のような珍しい映画を上映してくれたことに感謝していたにもかかわらず、とても見識を欠いた残念なやり方だったと思います。

今どき物事を性別で言ってはいけないのかもしれませんが、とくに女性はこういう事に関して強制力を発揮したがる人や場合が多いようにも感じます。
もちろんこれは映画館側の方針であって、一従業員の一存でやっていることとは思いませんが、それでもそれをためらいもなくズンズンと押し進めていく手際というか、その態度や口調には独特な高慢さというか、人を人とも思わない冷酷さが含まれていたように感じました。

逆にいうと、あの状態で各自が自由にロビーにいて、時間になれば自然な流れで会場入りしたからといって、何が問題なのかと訝しく思うばかりでした。
ちょっとした都合で、人に軽々しく上から目線で指令を出して、まるで囚人のような扱いをするのは、それを取り決める人達の、物の考え方に対する品性を疑ってしまいます。

ついでながら、この『ピアノマニア』の感想は近いうちにマロニエ君の部屋に書くつもりです。

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